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執筆者の写真林田医療裁判

緊急事態宣言と民事裁判

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本政府は2021年1月7日に緊急事態宣言を発出した。東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県を対象に1月8日から2月7日までとする。中野相続裁判さいたま地裁(平成30年(ワ)第552号・共有物分割請求事件、平成30年(ワ)第2659号・共有物分割請求反訴事件)第17回口頭弁論は2021年1月29日を予定している。期日変更の場合は速やかに告知する。


政府は2020年4月7日に東京や大阪など7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。その後、全国に対象地域を拡大し、5月25日に全国で解除した。中野相続裁判さいたま地裁第14回口頭弁論は4月10日の予定であったが、延期された。


今回の緊急事態宣言は前回(2020年4月)の緊急事態宣言よりもはるかに深刻な状況で出されるものであり、前回よりも非対面非接触を厳格に判断してもおかしくないものである。政府は出勤者の7割減少を求めており、それを守って期日を維持できるのかという問題がある。


西村経済再生担当大臣は緊急事態宣言で出勤者の7割削減を目指すと表明した。「テレワークの推進も一つの大きな柱だ。去年の春に宣言を出したときには、出勤者の7割削減を目指し、70%か、それを上回るような駅の利用客の減少があった。同様の措置を実施していくのが適当ではないか」(「テレワークで出勤者7割削減を目指す考え 西村経済再生相」NHK 2021年1月5日)


裁判所は「訴訟を含め期日はなるべく維持する方向で考えている。当事者を同行することはなるべく控えてほしい。弁論準備期日等はできるだけ電話会議・Web等で実施することに協力してほしいなどの要請はする」との方針を出したとの情報がある。口頭弁論は、当事者は出席し、傍聴者にも広く公開することが憲法上の要請であり、それができないならば延期が妥当だろう。


将来的には電話会議やWeb等の手続きの普及がDX; Digital Transformationの観点から望まれるが、傍聴を広く認めるべきである。特に口頭弁論の代わりに弁論準備手続きとなるならば傍聴を広く認める運用が求められる。コロナ禍を面倒な手続きをすっ飛ばす口実に使うことは許されない。


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飲食店の時短営業だけでは感染拡大防止に不十分である。「専門家の間では、政府が想定する1カ月程度の期間で宣言解除の水準まで感染者数を減らすのは困難との見方が根強い。飲食店の営業時間短縮だけでは不十分で、人との接触を削減するため、移動制限などのより強い対策を求める声もある」(「1カ月では解除困難…緊急事態宣言、専門家から移動制限求める声」産経新聞2021年1月6日)


「全国で実施された前回は、人と人との接触を「最低でも7割減らす」ことが求められた。ところが、今回は4都県に限定し、飲食店の時短営業が中心。はたして絶大な効果が望めるのか、はなはだ疑問である」(「緊急事態宣言の解除はGW以降に…“4カ月”長期戦必至「3つの根拠」」日刊ゲンダイ2021年1月6日)


東京都の2021年1月7日の新型コロナウイルス新規感染者数は2447人。過去最多の6日の1591人を大幅に上回り、2日連続で過去最多を更新した。千の壁の突破はあっさりであったが、二千の壁の突破はもっとあっさりであった。重症患者も前日から8人増え121人となり、4日連続で過去最多を更新した。


医療崩壊は既に起きている。都内では医療を受けられない新型コロナウイルス感染者が3千人も出ている。「12月5日までの1週間に受け入れ先が決まらず自宅待機になった感染者はのべ745人だったが、1月2日までの1週間は4倍強ののべ3056人に上った」(「都内で「自宅待機」週3千人超、入院調整も困難に…厚労省助言機関」読売新聞2021年1月6日)。医療機関の体制的な崩壊が医療崩壊ではない。医療機関が患者の需要に応えられないことが医療崩壊である。



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