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高齢者虐待防止法

高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)から #林田医療裁判#中野相続裁判 を考える。


高齢者虐待防止法は第二条で用語を定義する。経鼻経管栄養の流入速度を速めることは「高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること」(第2条第4項イ)に該当する。

「経管栄養は医療行為であり、嘔気、嘔吐、腹部膨満や腹痛などの副作用や誤嚥性肺炎の危険もあるため、医師の指示に基づいて行う必要があり、病院では看護師が行うこととされており、患者の家族が行うのは自宅での例外的な場合に限られているのであるから、患者の家族であっても、医師の指示に基づかずに患者の経鼻経管栄養の注入速度を変更することは違法であるといわざるを得ない」(東京地裁平成28年11月17日判決、平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、17頁)

延命に対する一切の治療を拒否することは「高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置」(第2条第4条ロ)に等しい。


第二条 この法律において「高齢者」とは、六十五歳以上の者をいう。

2 この法律において「養護者」とは、高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。

3 この法律において「高齢者虐待」とは、養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。

4 この法律において「養護者による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。

一 養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為

イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人によるイ、ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。

ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。

二 養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。


高齢者虐待防止法は第3条で国の責務を定めている。裁判所も国の機関であり、この法律の対象になる。判決も高齢者虐待防止の啓発に沿うものであることが求められ、逆行するようなものであってはならない。


(国及び地方公共団体の責務等)

第三条 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに養護者に対する支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に携わる専門的な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に資するため、高齢者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。


高齢者虐待の防止は国民の責務である。現在の共有物分割も、この趣旨に則って行われるべきである。


(国民の責務)

第四条 国民は、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等の重要性に関する理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等のための施策に協力するよう努めなければならない。


病院や医師などは高齢者虐待を発見しやすい立場にあるため、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。病院には部外者が経鼻経管栄養を操作しないように管理する責務があるし、患者の家族の一人が治療を拒否した場合、それが患者の意思を推定したものか、虐待につながる家族個人の意思かを吟味しなければならない立場にある。


(高齢者虐待の早期発見等)

第五条 養介護施設、病院、保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。



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