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執筆者の写真林田医療裁判

林田医療裁判の公開質問状2024年第三四半期

2024年も林田医療裁判の公開質問状が発信され、医療消費者としての問題提起が継続されています。この公開質問状は、医療機関や医療従事者、患者家族、そして社会全体に向けて医療の在り方を問い直す記録です。2024年第三四半期までに発表された公開質問状は合計9通です。テーマは医療事故や患者の尊厳、医療制度の課題など多岐にわたっています。ここでは、各質問状の概要とその意義について振り返ります。


1. 第60回 「医療事故調査・支援事業運営委員会」(2024年1月4日)

新年最初の公開質問状は、医療事故調査・支援事業運営委員会をテーマとします。医療事故調査制度の目的は、再発防止のために医療事故の原因を明らかにすることです。しかし、医療事故調査の不十分さとその結果が医療者側に偏って解釈される危険があります。


2. 第61回 「わたしはここにいます」(2024年2月13日)

印象的なタイトルです。医療現場における患者の存在意義への問いかけになります。「わたしはここにいます」というメッセージは、医療の現場で患者が「見られていない」現実を訴えるものです。患者は単なる治療の対象ではなく、医療チームの一員として尊重されるべき存在であるという立場を示し、患者の思いが無視される状況を批判しています。


3. 第62回 「東京消防庁救急隊要請」(2024年3月18日)

この質問状では、救急医療体制とその対応に関する問題を取り上げました。林田医療裁判訴訟団は、東京消防庁救急業務懇話会答申」の蘇生中止方針に対して、2019(平成31)年3月7日付で林田医療裁判の経験に基づいて要請文を出しました。


4. 第63回 「医師の理念」(2024年4月12日)

「医師の理念」がテーマとなった質問状です。医師の役割とは何か、そして医師が守るべき倫理や責任について考察しました。林田医療裁判において明らかになった「患者の苦しみを『お花畑』と表現した主治医の姿勢」を批判し、医師としての責任感や患者への敬意が欠如していたことを指摘します。医師が持つべき理念とは、患者のために真摯に尽くす姿勢と考えます。


5. 第64回 「患者側代理人に期待すること」(2024年5月27日)

医療事故情報センターのシンポジウム「医療事故・薬害の被害の救済と医療の安全~患者側代理人に期待すること」を報告します。裁判における患者側代理人の役割と、代理人に求められる姿勢を取り上げたシンポジウムです。患者の権利を守る役割を果たすことが代理人には求められます。


6. 第65回 「医療事故と命の尊厳」(2024年6月17日)

患者の権利法を作る会の主催する学習会「医療事故と命の尊厳 医療安全の推進は医療基本法が土台に」の報告です。医療事故が発生した際に、患者の命をどのように捉え、どのように対処すべきかについて問いかけています。命の重さを軽視する問題や、医療者が患者の命を守るという基本理念を逸脱しているケースに厳しい視点を投げかけます。


7. 第66回 「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」(2024年7月1日)

脳死や臓器移植の問題から「命の選別」というテーマを掘り下げました。脳死判定の際の倫理的問題や、臓器移植における命の価値の判断について議論され、社会における命の選別の現実とその矛盾を指摘しています。患者の意思や家族の意向を軽視することなく、命の選別が行われない医療の在り方を模索する姿勢を表明します。


8. 第67回 「HPVワクチン薬害出版記念」(2024年8月1日)

HPVワクチンの薬害問題に関する書籍の出版を記念して、ワクチンの副反応に対する認識や、被害者救済の不備について触れました。副反応が精神的なものと片付けられ、被害が認定されない現状に対して、医療機関や行政機関の対応を批判します。


9. 第68回 「患者参加型医療」(2024年9月23日)

第三四半期最期の公開質問状は患者参加型医療をテーマとしました。患者参加型医療は、患者が医療の意思決定に主体的に関わることを促進する医療体制です。質問状では、患者が単なる受け身の存在ではなく、医療の一員として尊重されるべきだという立場を強調し、患者参加を促す医療制度の必要性を訴えました。


2024年第三四半期までに発表された公開質問状は、医療消費者として医療制度や医療現場の在り方に対して強い問題意識を示し、幅広いテーマにわたって議論を深めています。これらの質問状は、患者の権利、命の尊厳、医療者の責任、そして社会全体で考えるべき医療の課題が提示されており、今後の医療制度改革や医療倫理の見直しに貢献するものです。


医療消費者としての声を上げ続けることは、医療の質の向上と医療者との信頼関係の構築において重要な役割を果たします。林田医療裁判の公開質問状は、今後も医療の在り方を問い続ける重要な発信として、社会における医療の改善を目指す一つの灯台となるでしょう。



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