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執筆者の写真林田医療裁判

United Airlines団交拒否行政訴訟

更新日:2023年8月28日

ユナイテッド航空United Airlines団交拒否行政訴訟(再審査命令取消請求事件)の口頭弁論が2023年8月25日に東京地方裁判所526号法廷で行われた。全労協全国一般東京労働組合がUnited Airlinesの団交拒否を認めない中央労働委員会命令の取り消しを求めた行政訴訟である。林田医療裁判を考える会からも傍聴参加した。過去の判決と今回の裁判との関係という林田医療裁判と重なる内容が議論された。


コンチネンタルミクロネシア航空CMIの客室乗務員らが解雇された。その後にCMIはUnited Airlinesと合併したため、元客室乗務員らの復職を求めて団体交渉を求めたが、団交拒否の不当労働行為があった主張する。口頭弁論では原告と被告が準備書面を提出した。


原告代理人は準備書面の要旨を説明した。解雇無効の裁判は2022年9月に最高裁で確定しているが、この裁判は団交拒否であり、解雇が有効か無効かと団交拒否は別の論点であり、前の判決に引きずられる必要はない。成田ベース閉鎖は従業員の労働条件に直結する問題である。それを高度な経営判断として団交の協議対象にしなくて良いとするならば労働条件について議論できなくなる。


原告側は被告の出した書面に反論すると述べた。また、人証の申請を予定するとした。次回口頭弁論期日は2023年11月1日の午前10時半から510号法廷で行われる。口頭弁論終了後に報告集会が開催された。解雇の背景には米国の労働組合AFA; Association of Flight Attendantsとの組合差別があったと指摘された。Profit Share(ボーナスに相当)でも差別があったとする。労働委員会は団結権を守らなければならないとの意見が出た。


訴状は合併後のUnited Airlinesに対する復職を求める団体交渉の不誠実が中心であるが、裁判の中では合併前のCMIとの団体交渉の不誠実も論じている。解雇無効裁判の判決は伝統的な整理解雇4要件のハードルを下げるものであるが、地上職への転換など解雇回避の努力を十分していると評する向きもある。


しかし、客室乗務員と地上職では仕事内容が全く異なる。ユナイテッド闘争団のデモの横断幕も「仕事を奪うな!私たちを空に戻せ!」である。企業人事はジョブ型への転換を主張する割には労働者のジョブに対する専門性や熱意を尊重しておらず、都合の良い時だけジョブ型を口にするだけで嫌な仕事を押し付ける傾向がある。


また、労働組合差別が背景にあることも知られていない。米国企業が米国の労働組合員と日本の労働組合員を差別したものであり、外国人差別にもなる。日本も名古屋出入国在留管理局ウィシュマさん死亡事件や警察による人種差別的な職務質問(レイシャルプロファイリング)、誤認逮捕など外国人の人権無視が行われている。


日本人には外国人差別に無頓着な向きも多い。それが日本人を守ることになると正当化する発想すら存在するが、外国企業が日本に進出しているグローバル社会では差別される側にもなることの想像力を持った方が良い。





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