患者の権利を守る会は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院に2019年11月8日付で公開質問状(10)を送付しました。
立正佼成会附属佼成病院
病院長 甲能直幸 様
公 開 質 問 状(10)
2019年11月8日
前略
暑かった夏も過ぎ、陽も短くなり、寒さを感じる頃となりました。病院長様には、お変わりなくお過ごしでしょうか。
本来なら参上してご挨拶・ご説明申し上げるところ、病院長様が面談をお断りなされたため公開質問状をメールと郵送にてご送付しております。今回で10回目に相成りました。
今迄病院長様からは、一度もご返信はございませんが、貴院は「患者の意思確認はしない病院」としてのご意見・ご回答などお寄せ下さることを期待されています。
日本医師会のシンクタンクの意識調査では、受けた医療に満足していない理由の1位が医師の説明、2位が待ち時間でした(日医総研ワーキングペーパーNo.384「第6回 日本の医療に関する意識調査」2017年)。一般に思われている待ち時間以上に医師の説明に不満があることは注目に値します。医療側が考えている以上に丁寧かつ詳細な説明が求められています。
東京地方裁判所で2019年10月9日に開催された「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」では林田医療裁判が取り上げられました。
そこでは病院の対応に問題があったとする以下の意見が出ました。
・本人の意思確認が出来ず、病院が患者側のキーパーソンを決める場合、患者の意志が最も分かっている家族は誰か確認せず、同居している長男を安易に決めた点に問題があった。
・長男から延命治療を希望しない申し出があったとき、主治医一人が判断して対応するのではなく、チーム医療の多職種や、倫理委員会など、集団で今後の対応を検討すべきだった。
・チームとして対応していれば、終末期医療について、家族間に意見の相違があっても、家族に丁寧にヒアリングすることで、患者の意志を把握できる可能性があったのではないか。
これらの改善を行うこと、改善したことを内外に明らかにすることは当然行われるべきことと思います。
開かれた医療にするためには、市民と共に考え議論を深めることが大切です。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく現代日本の医療の問題として問われ続けています。
福生病院の遺族は、「妻が息苦しさから公立福生病院に入院した時、私は亡くなるとは思っていませんでした。入院すれば助けてくれると思っていました。死に方が不自然で腑に落ちません。・・・医者は人の命を救うのが仕事です。医者から透析中止を言うのはあり得ないことです。何年も生きられるのなら寿命まで生かしてあげるのが普通です。」と語っています。また「いのちがかかっていることなのに軽く扱われ、説明も謝罪も何もない、他の人にも同じことが起きてはいけないし透析を再開してくれなかったのは何故なのか、はっきり知りたいと思います。」とも語っています。
一方林田医療裁判の患者は、脳梗塞の治療で入院しましたが快方に向かいリハビリを始め岩﨑医師より施設へ転院の指示が出ました。母親が亡くなった時、林田医療裁判の姉妹は、「死ぬとは思わなかった」と語りましたが、実は、母親の治療が中止されて死ぬことが決められていたのを知らなかったのです。
仮にも命を画する重大事項が同意書もなく簡単に扱われていることに驚きを禁じ得ません。
もし、説明があったとしても患者本人はもちろんのこと家族は、決して同意はしないでしょう。残酷な死なせ方ではないかと胸が痛む思いです。
家族の一人よりの要望で治療が中止され、酸素マスクも外されてしまうのであれば患者は、心配で入院していられないです。
林田医療裁判の家族は、母親の死から2年後にカルテを見て初めて治療中止を知りました。カルテを見たから分かったものの見なければ知らないままでした。これでは、他の人にも同じようなことが起きている可能性はあると思います。
医療被害者の疑問に向き合い、皆様で考えることによって病院の内部の改善につながり、再発防止になることを願っております。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させて頂きます。
いつものように、2019年6月30日付 第1回公開質問状を以下に掲載致します。ご回答は2週間以内に郵送にてお願いします。
草々
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