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  • 執筆者の写真林田医療裁判

拡大する着床前診断 それは、当事者たちに幸せをもたらすのか?

着床前診断は、胚の遺伝子や染色体を調べて、「正常」とされた胚のみを子宮に戻す技術です。いわば、選別的な妊娠・出産を可能とする技術ともいえます。

日本では、「いのちの選別」であるとして導入に強く反対した障害者や女性らとの議論を経て、診断対象を「重篤な遺伝性疾患」に限定し、日本産科婦人科学会(日産婦)が1例ごとに慎重に審査し認可する形で始まりました。後に、親の染色体の性質が原因で流産を繰返す場合にも用いられるようになりました。

今、この着床前診断を一気に拡大させようという動きがあります。

日産婦は、現在、外部委員も含めた倫理審議会を開催し、その中で「重篤」の定義を変更し、着床前診断の適用範囲を拡大するよう提案し、今年2月にも拡大が決まる見通しです。これまで認めてきた「成人に達する以前に生存が危ぶまれる場合」に加えて、新たに、「日常生活を強く損なう症状」が出現する場合や成人になってから発症する疾患も対象に加えようというのです。同時に、日産婦による審査・認可による規制をやめて、着床前診断実施施設の倫理委員会の判断に任せる案も提示しています。

加えて、昨年から「特別臨床研究」の名のもと、全国の不妊クリニックなどで不妊症・不育症患者を対象とした着床前スクリーニング(PGT-A)――流産防止と出生率向上を目的に、体外受精に際して全ての胚の染色体を網羅的に調べ「異常」のないものだけを子宮に戻す試み――が数千人規模で行われています。

・着床前診断の実施を希望する患者たちは、何を求めているのか?

・適用拡大は、病や障害をもって生まれることの否定や忌避、さらには、デザイナーベビーにつながるのではないか?

・着床前診断は、女性たちに過重な身体的・精神的・経済的負担を強いるのではないか?

・営利目的での検査会社や不妊クリニックからの働きかけはないのか?

・着床前診断の拡大・普及は、遺伝性疾患をもつ当事者や不妊の人達を幸せにするのか?

・いのちの生まれる場での“ふるいわけ”の進行は、私たちの社会に何をもたらすのか?

誕生の場での「いのちのありよう」について、今一度、みんなで考えてみませんか?


日時:2021年2月28日 14時00分~17時00分 入場 13時30分 

講師:利光惠子さん(グループ生殖医療と差別/立命館大学生存学研究所客員研究員)「着床前診断をめぐる現状」

見形信子さん(神経筋疾患ネットワーク)「障害のある命の選別を許さない!~いのちが豊かに育まれる社会へ転換を~」

須賀ナオさん(DPI女性障害者ネットワーク)「着床前診断は誰のため?対象拡大で当事者は幸せになれるのか?」

千葉紀和さん(毎日新聞記者)「不安ビジネスの実態とGoTo産科」

司会:島薗進さん  上智大学特任教授・東京大学名誉教授

主催 :ゲノム問題検討会議

こちらからお申し込みできます

https://gnomeke06.wixsite.com/come


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