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執筆者の写真林田医療裁判

貧困撲滅のための国際デー

10月17日は「貧困撲滅のための国際デー(International Day for the Eradication of Poverty)」です。社会全体で貧困解消に向けた取り組みを考える日として制定されました。その起源は1987年に貧困、飢餓、暴力、恐怖の犠牲者に敬意を表するため10万人がフランス・パリのシャイヨ宮の人権広場に集まったことにさかのぼります。これを機に、貧困撲滅に対する国際的な意識を高めるための活動が広がり、国連が公式にこの日を貧困撲滅デーと定めました。


医療消費者としての課題

医療消費者の立場から見ると、貧困の問題は単に経済的な困難にとどまらず、人々の健康や福祉に深刻な影響を及ぼす点で、非常に重要なテーマです。経済的に困窮している人々は、健康保険に加入していないことが多く、必要な医療サービスを受けられなかったり、薬を買うことができなかったりするケースも少なくありません。生活費の工面を優先するあまり、食事が不十分になり、栄養不足や病気にかかりやすくなり、結果的に健康をさらに悪化させてしまうこともあります。


また、貧困による住環境の悪さも健康を脅かす大きな要因です。例えば、日照や通風のない住まいでは、感染症のリスクが高まりますし、湿気やカビが健康に悪影響を及ぼすこともあります。医療へのアクセス、健康的な生活を送るための環境の確保、さらには心の健康を保つための社会的な支援など、どれ一つとして欠かすことはできません。このように、貧困の撲滅はただ単に経済的な支援を行うだけではなく、健康を守るための施策とも深く結びついています。


貧困撲滅とSDGs

持続可能な開発目標(SDGs; Sustainable Development Goals)のGoal 1は「貧困をなくそう」(End poverty in all its forms everywhere)です。この目標は、あらゆる形態の貧困を世界中から根絶することを掲げています。しかし、実現は容易ではありません。現在、世界では多くの人々が基本的な生活を維持することすら困難な状況にあります。加えて、住まいの確保やディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の提供も求められており、これらが達成されなければ、貧困は永久に続きます。


新型コロナウイルス感染症Coronavirus disease 2019; COVID-19のパンデミックの影響で、世界中で貧困層が増加し、社会的な格差も拡大しました。医療消費者としては、この問題が経済の安定だけでなく、医療システムや健康全体にどのような影響を与えているかを常に意識し、声を上げていくことが大切です。


医療消費者として考える貧困撲滅のアプローチ

貧困撲滅に向けて、医療消費者ができることは何でしょうか?まず、自分達が受けられる医療サービスの質やアクセスについて情報を共有し、必要な人が適切な医療を受けられるようにすることです。地域の健康相談窓口を利用したり、無料または低価格で受けられる検診や健康指導を広く知らせることも貢献の一つです。


さらに、食料支援や医療費補助など、困難な状況にある人々を支える制度や活動を積極的に知り、関心を持つことも重要です。これらの取り組みに参加することで、社会全体で貧困の撲滅に取り組む意識を高めることができます。


また、医療消費者としては、健康的な食事や住環境の維持がいかに大切かを訴え、政策提言に参加することも一案です。地域での意見交換会や啓発イベントに参加することも効果的でしょう。私達一人ひとりができることは限られているかもしれませんが、声を上げ続けることで社会全体の意識を変えていくことができます。


ディーセント・ワークの重要性

貧困の撲滅には、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の提供が欠かせません。安定した職業と収入がなければ、生活の基盤が揺らぎ、医療や教育へのアクセスも制限されてしまいます。さらに、不安定な仕事や低賃金の労働は、精神的・身体的ストレスを生み出し、健康を害するリスクも高まります。


ディーセント・ワークは、経済的な安定をもたらすだけでなく、人々に自尊心や社会参加の機会を与え、ひいては健康の維持に寄与するのです。医療消費者として、これらの働きがいを支える環境作りにも目を向け、支援の輪を広げていくことが重要です。


貧困の撲滅に向けて、私達にできること

貧困撲滅のための国際デーを迎え、私達ができることを考えてみましょう。家庭内での食料ロスを減らす取り組み、地域のフードバンクやNPOへの寄付、あるいはボランティア活動に参加することも良いでしょう。また、健康相談窓口や生活支援団体との連携を深め、困難に直面している人々が医療や福祉サービスにアクセスできるような環境を整えることも重要です。


医療消費者として、貧困をなくすための声を上げ、行動し続けること。それが全ての人が健康で人間らしい生活を送る権利を守るために必要なことではないでしょうか。この日を機に、私たちの生活と健康に密接に結びついた貧困問題を再認識し、少しでも前向きな変化を起こすことを目指しましょう。




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