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執筆者の写真林田医療裁判

ニパウイルス感染拡大の危険

新型コロナウイルスCOVID-19に続いてニパウイルスNipah virus感染症のパンデミックの危険がある。世界保健機関WHOはエボラ出血熱、ジカ熱、新型コロナウイルス感染症などと並び、ニパウイルス感染症を優先病原体リストに掲載している。


ニパウイルス感染症はパラミクソウイルス科へニパウイルス属ニパウイルスによって引き起こされる感染症である。ニパウイルスは動物から人、人から人へ感染する。未感染の人が感染者の分泌物や排泄物、例えば唾液、尿、嘔吐物、下痢便などに接触した時に感染する。汚染された生のナツメヤシの樹液を摂取して感染した事例がある。


20世紀末にマレーシアのニパ川沿いの養豚業者が感染し、東南アジアや南アジアで流行している。自然宿主はフルーツコウモリで、家畜動物(ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ)も感染する。


森林開発によって追いやられたコウモリが養豚場の近くに棲みつき、その尿が付着したナツメヤシの実を食べた豚と人が接触したことで感染した。バングラデシュではナツメヤシの樹液の収穫と消費のある12月から4月にかけて患者が増える季節性がある。


ニパウイルス感染症は発熱、頭痛、めまい、嘔吐などの症状になり、致死的な脳炎や多臓器不全を引き起こす。マレーシアでは脳炎が中心であったが、バングラデシュやインドでは呼吸器症状も多く報告されている。ニパウイルス感染症の致死率は高いが、初期症状や徴候は非特異的で、受診時には診断が疑われないことが多い。


「新型コロナに続く次なるパンデミック(世界的大流行)を引き起こす感染症は「ニパウイルス」が進化した病原体になる可能性が高い。世界の新興感染症の動向に詳しい東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「疾病X」の最有力候補に「新型ニパ」をあげる。ニパウイルス感染症は新型コロナウイルスと同じRNAウイルスを病原体とする。感染すると発熱や頭痛、脳炎などの症状が出る」(「「疾病X」への備えは大丈夫か パンデミックの間隔短く」日本経済新聞2024年9月12日)


「ニパウイルス感染症の集団感染が散発しているインドで7月21日、同ウイルスに感染した10代の少年が死亡したことを受け、同国の保健当局は感染拡大の封じ込めを急いでいる。ニパウイルスの致死率は最高で75%に達し、新たなパンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性があると警戒されている」(「致死率高いニパウイルス、インドでまたも集団感染 10代少年が死亡」Forbes JAPAN 2024年7月23日)


「インド南部ケララ州でニパウイルス感染症のアウトブレイク(集団感染)が発生し、2人が死亡した。地元当局は学校や職場、公共交通機関を閉鎖したほか、数百人を対象に検査を行い、感染者の追跡や感染拡大の封じ込めを急いでいる。珍しいが致死率が最高で75%に達するニパウイルスは世界保健機関(WHO)によって、新たなパンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性があるウイルスのひとつに挙げられている」(Robert Hart「「パンデミック候補」のニパウイルス、インドで死者 知っておくべきこと」Forbes JAPAN 2023年9月19日)



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