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執筆者の写真林田医療裁判

調査結果からみる医療の課題

日本医師会総合政策研究機構「第6回 日本の医療に関する意識調査」(2017年)では国民が考える重点課題として、「高齢者などの長期入院施設や介護老人保健施設の整備」と「夜間や休日の診療や救急医療体制の整備」がツートップです。

「受けた医療に満足していない理由」では「医師の説明」と「待ち時間」がツートップです。待ち時間は良く言われていることですが、それ以上に医師の説明を不満に思っている割合が高いという結果になりました。インフォームドコンセントが掛け声倒れの実態があります。


国民が考える重点課題

高齢者などの長期入院施設や介護老人保健施設の整備 49.5

夜間や休日の診療や救急医療体制の整備 46.8

医療従事者の資質の向上 27.2

地域の診療所と病院の連携 26.2

心のケアや心の健康を保つための医療の整備 24.7

軽い病気の相談や専門医療との連携などを行う身近な医療の充実 22.5

医療従事者の確保 21.8

在宅医療の整備 19.8

IT(ICT) を活用した効率的な医療の促進 10.6


受けた医療に満足していない理由

医師の説明 48.6

待ち時間 42.9

治療費 38.6

医師の知識や技術 25.7

医師の態度や言葉使い 22.9

診察日や診療時間 21.4

看護師の態度や言葉使い 10.0

検査や画像診断 8.6


日本の医療全般について評価しない点

国民の医療費負担 24.4

夜間休日の医療へのアクセス 17.3

医療の効率性 14.8

診断や治療の標準化 14.2

患者の価値観を重視した医療 10.1

医師と患者のコミュニケーション 8.9

医療の安全性 7.5

医師の資質 5.6

個人情報に対するセキュリティ 4.7

医療の技術 1.2


日医総研ワーキングペーパーNo.384「第6回 日本の医療に関する意識調査」2017年

http://www.jmari.med.or.jp/download/WP384.pdf


窓口増加などの待ち時間の短縮策はコストがかかり、困難。待ち時間の表示、WIFIスポットの設置、メールでの順番連絡サービスという待ち時間の質の改善が現実的との研究結果があります(松浦晟、加藤鴻介「総合病院における患者待ち時間の負担軽減に関する研究」経営情報学会2014年秋季全国研究発表大会)。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2014f/0/2014f_97/_pdf/-char/ja


医師の過重労働が問題になっています。週当たり勤務時間40時間以上の病院常勤医師の勤務時間の内訳を見ると、診療外時間もあります。診療外時間は教育、研究・自己研修、会議・管理業務等に従事した時間です。労働時間が多い医師ほど診療外時間の割合が高くなる傾向があります。


週当たり勤務時間40時間以上の病院常勤医師の勤務時間の内訳

40~50時間 50~60時間 60~70時間 70~80時間 80時間以上

診療時間

36:31

41:37

45:25

49:46

56:00


診療外時間

7:28

10:01

12:56

14:58

19:11


待機時間

0:51

3:04

6:02

9:38

16:13


厚生労働省「第2回医師の働き方改革に関する検討会」資料「医師の勤務実態について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000178021.html


勤務負担が増えている理由として「診療外業務」を挙げる声が圧倒的に多く、これが負担になっています。


勤務負担が増えている理由

病院内の診療外業務(院内委員会活動・会議など) 62.3%

教育・指導 49.4%

外来患者数の増加 32.7%

外来患者1人に費やす時間 28.9%


厚生労働省「医師の需給に関する検討会報告書」2006年

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/s0728-9.html


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