患者の権利を守る会は林田医療裁判を踏まえ、立正佼成会附属佼成病院(杉並区和田、杏林学園教育関連施設)に公開質問状を送付している。医師の説明義務、患者の自己決定権、緩和ケア、尊厳、キーパーソンなど議論する問題が沢山ある。しかし、一度も回答がなされていない。佼成病院は新型コロナウイルス対策で杉並区の補助金が入り、事実上の公営病院に近づいている。公開質問状に回答する責任はますます増大している。
しかし、佼成病院の発表文書「新型コロナウイルス感染症の治療に対する当院の取り組みにつきまして」(2020年4月20日)を読むと公金で減収を補填されることの自覚が乏しい。以下で文書の問題点を指摘する。
「4月13日の田中杉並区長の記者会見にございましたとおり、佼成病院は、杉並区の他の急性期病院と共に、新型コロナウイルス感染症の治療に取り組んでおります」。区長の発表が4月13日なのに佼成病院の発表は20日である。これは杉並区議会で20日に新型コロナウイルス対策の補正予算案が可決したからであろう。これによって佼成病院は毎月約1億2,800万円から約2億8,000万円までの減収額が補助される。その事実を明らかにしていない。
「『発熱外来』にて外来診療を行い、専用病棟において軽症~中等症の患者さんの入院診療を行っております」。発熱外来は地域の開業医がローテーションで出向し、その手当は杉並区の補正予算の医師確保支援事業から出る。佼成病院単体の事業ではない。
「当院ご利用の際には、入館時の体温チェックやマスク着用など職員の指示に引き続きご協力ください」。商業施設ではマスク未着用の消費者の入店拒否が批判されて撤回したところもある。
「『発熱外来』の受診に関しては、病院前掲示を必ずお守りください。直接お越し頂いても受診はできません」は患者に不親切である。病院前掲示を確認するためには病院の前に行かなければならないが、「直接お越し頂いても受診はできません」ならば患者に二度手間を強いることになる。
「当院は、「真観(しんかん)」、「正しくみて正しく手当する」との理念のもと」。佼成病院は宗教法人立正佼成会が運営するが、税金で減収をバックアップされるのであるから、宗教的理念を前面に出すことはどうだろうか。
「新型コロナウィルス感染症の(疑いのある)患者さんの 診察と治療に取り組むことは、まさに当院の社会的な使命であると考え」。税金のバックアップがあって実施していることなのに、社会的使命だけで実施しているように書くことはどうだろうか。
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