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執筆者の写真林田医療裁判

東洋経済に佼成病院の新型コロナウイルス院内感染

立正佼成会附属佼成病院(杉並区和田、杏林学園教育関連施設)の新型コロナウイルス(COVID-19; coronavirus disease 2019)院内感染が東洋経済Onlineに取り上げられた。佼成病院は発表されている限り、4人の感染者が判明しており、クラスターになりかけた。この重大性の割には報道が少ない。


佼成病院の新型コロナウイルスの報道は確認している限り、以下がある。

「新型コロナ「院内感染」東京・杉並佼成病院の場合」週刊現代2020年3月14日号

「「院内感染」そのとき何が 新型コロナ“拡大”防げ」TBS 2020年3月25日

井艸恵美「新型コロナ院内感染、そのとき何が起こったか 東京・佼成病院が経験した「苦闘の3週間」」東洋経済Online 2020年4月4日


このうち、早い段階に出た週刊現代記事は批判的に取り上げている。ジャーナリズムの気骨を感じさせる。「最初の陽性患者の主訴が発熱でなかったとはいえ、同室の患者や看護師まで感染してしまっているなど、佼成病院の医療機関としての管理体制は杜撰だったと言わざるを得ない」(48頁)


これに対してTBSと東洋経済は佼成病院の協力を受けているためか佼成病院の主張の代弁の面がある。病院側に週刊現代記事に対抗する意図があるのではないかと勘繰ってしまう。それでも記事から問題点を確認することができる。


最初に感染が判明した80代男性患者は脳神経外科を受診した。東洋経済記事は「CT検査で肺炎が見つかり、入院することになった。発熱は37.6度。当初は「普通の肺炎」と考えられた」とする。肺炎が確認されているのに「普通の肺炎」で済まされたことはどうなのだろうか。検査を中々受けられない人々の不満は、肺炎と診断されないと検査に進まないことにある。佼成病院は、それ以前の問題であった。週刊現代記事は佼成病院を批判する前に「最初の陽性患者の主訴が発熱でなかったとはいえ」と佼成病院の事情を斟酌する文言を書いているが、その必要はあるだろうか。


佼成病院は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)でも肺炎の誤診があったと主張した。カルテ「病歴要約」の「入院病歴」欄は入院患者の死因について「Aspiration pneumonia→Sepsis→MOFという経過を取り」と書かれている。これは誤嚥性肺炎、敗血症、多臓器不全multiple organ failureを意味する。ところが、そのカルテを書いた医師が第10回口頭弁論(2016年6月1日、東京地方裁判所610号法廷)の証人尋問では誤診であり、多剤耐性緑膿菌の院内感染であると証言した。


東洋経済記事では佼成病院で2月15日に新型コロナウイルスによる肺炎についての勉強会が行われたとする。週刊現代記事は2月16日の時点で佼成病院の内科や呼吸器内科の医師達が「コロナウイルスなんじゃないか」との疑いを抱いたとする。週刊現代記事では人工呼吸器を装着するほど患者の容体が悪化したことが疑念の理由になる。東洋経済記事も16日の病状の悪化を記載するが、加えて前日の勉強会で新型コロナウイルスの知識がついたから判断できたことになる。


佼成病院側は遅くとも16日には新型コロナウイルスの疑いを持っていた。Twitter上では2月16日の時点で把握していたのではないかとの指摘がなされていたが、それが根拠のあるものであることが報道から裏付けられる。しかし、病院が東京都や杉並保健所と連携してPCR検査で結果が出たのは2日後の2月18日であった。


このタイムラグについて佼成病院の高橋信一副院長は東洋経済の取材に「当時、杉並区に頼んでも、東京都に相談しても、すぐにはPCR検査を受けさせてくれなかった」と話している。自分の仕事を減らしたい、責任逃れしたいという公務員体質は十分に想像できる。この点について杉並区や東京都には主張があるだろうか。



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