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執筆者の写真林田医療裁判

佼成病院への公開質問状(22)

患者の権利を守る会が立正佼成会附属佼成病院に公開質問状(22)を送付しました。

林田医療裁判の関連訴訟として中野相続裁判が進行中です。これは長男夫婦が起こした裁判です。東京都の感染者500人などコロナ禍が深刻になっていますが、Social Distanceを確保して、お時間のある方は応援傍聴や取材をお願いします!

2020年11月27日(金)1時半 さいたま地裁C棟 105法廷

JR浦和駅西口県庁通り徒歩15分



立正佼成会附属佼成病院病院長 甲能直幸 様

2020年11月22日


公開質問状(22)


前略

2020年9月5日 さいたま市立病院で息子が入院中の母親の首を絞めて殺人未遂容疑で逮捕された事件が起きました。


さいたま市緑区のさいたま市立病院で入院中の母(76)の首を絞めて殺害しようとしたとして、さいたま市南区の会社員の男(50)が2020年9月5日、殺人未遂容疑で逮捕された。逮捕容疑は同日午前4時25分頃、入院中の母親の首を両手で絞めるなどして殺害しようとしたこと。母親は首を絞められてから約10時間後、死亡が確認された。


母は今年6月頃から入退院を繰り返していたが、9月4日午後に容体が悪化。危篤状態となり、男は看病のために病室を訪れていたが、持っていたボールペンで母を刺そうとした後、両手で首を絞めた。病室にいた医師や看護師が男を止め、「入院患者の息子が首を絞める事案があった」と110番した(「母親死亡、容疑の男逮捕 入退院繰り返す母が危篤、看病に訪れ首絞める…楽にしてあげたかった/浦和東署」埼玉新聞2020年9月6日)。


息子は「楽にしてあげたかった」と供述しています。しかし、ボールペンで刺されることや首を絞められることは到底、患者が楽になる行為にはならないです。患者本人の感覚ではなく、息子自身の思いだけで突っ走った行動であると考えます。


これは林田医療裁判でも繰り返し問題提起しています。キーパーソンの意見を聞いただけでは患者本人の意見を聞いたことにならないです。本人の意見を繰り返し確認すること、家族らの意見も家族ら自身の要望ではなく、本人の意見を推察する判断材料の一つとして聞くこと、そのために多数の家族らの意見を聞いて複合的に把握することが求められています。


厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、「時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話い合いが繰り返し行われることも必要である」と記載しています。


林田医療裁判では、患者の長男が立正佼成会附属佼成病院に入院中の母親の経鼻経管栄養の流入速度を医師の許可なく勝手に速めました。これについて患者の権利を守る会は公開質問状(2020年6月30日第1回)質問事項1.で以下の質問をしています。


「患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください」

その後母親は嘔吐しましたが、佼成病院では流入速度を速められたことを知りませんでした。母親は誤嚥性肺炎になりましたが、長男は、誤嚥性肺炎を治すのではなく、治療途中で拒否しました。医師記録によると長男が治療を拒否したその日に岩﨑正知医師は「本日で終了」と記載しています。


前回送付の公開質問状(21)では、林田医療裁判が判例タイムズ1475号(2020年10月号)に掲載されたお知らせを致しました。1頁では、長男の発言が「過激」、2頁では「冷たい」との意見が出ています。公開質問状(18)2頁では、家族には、いろいろな思惑が入り家族の中でも思いはそれぞれ違うことを掲載しました。


佼成病院のように長男だからという理由で安易にキーパーソンと決めたことや、キーパーソンの設定を他の家族には知らせないのは危険ではないかと考えます。ご意見をお寄せ下さることが期待されています。


開かれた医療を進める為には、多くの市民と意見を交わし、相互の認識と理解を深めることが不可欠です。この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に公開致します。佼成病院が適切な医療を進めるための一助になれば幸いです。ご回答は2週間以内に郵送でお願いします。いつものように第1回公開質問状を以下に掲載致します。

草々

*****

公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回) 第1 質問事項 1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。 2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。 3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。 第2 質問の趣旨 1  林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。 2  そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。 3  従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。 以上



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