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執筆者の写真林田医療裁判

佼成病院の新型コロナウイルス院内感染の範囲

立正佼成会附属佼成病院(杉並区和田、杏林学園教育関連施設)は2020年2月という早い段階で新型コロナウイルス感染症(COVID-19; coronavirus disease 2019)の院内感染が起きた。先行事例となる重要な問題の割には報道が少ない。院内感染の範囲も不明確である。

佼成病院では以下の新型コロナウイルス感染者が出ている。

2020年2月18日、入院患者の80代男性

2月19日、入院患者で男性の妻の70代女性

2月29日、女性看護師

3月1日、最初の感染者と同室で入院していた男性


可能性として以下のパターンが考えられる。

第一に院内感染4名のパターンである。最初の80代男性も含めて全員が佼成病院の中で新型コロナウイルスに感染した。

第二に院内感染3名のパターンである。最初の80代男性が入院前から感染者で、入院後に残りの3名が感染した。

第三に院内感染2名のパターンである。80代男性と70代女性の夫婦が入院前から感染者で、入院後に残りの2名が感染した。


第一のパターンは、あまり考えられていない。新型コロナウイルスは存在していないところに自然発生するとは考えられておらず、感染源がなければ感染は起きない。しかし、東京警察病院や河北総合病院では医療従事者の新型コロナウイルス感染が判明している。無症状の医療従事者が感染源という可能性も皆無ではない。


80代男性が入院前から感染者であったと考える説得力のある理由は、入院当初から発熱と肺炎という新型コロナウイルス感染症の症状があったことである。この点を強調すればするほど「普通の肺炎」で済ませた佼成病院の当初の対応は反省の対象になる。週刊現代記事の批判「佼成病院の医療機関としての管理体制は杜撰」が説得力を持つ。


第二説か第三説かが問題になるが、70代女性の入院経緯が明らかにされていないことが問題である。文春記事は第三説寄りの書き方をしている。

「杉並区で最初の患者が確認されたのは2月18日だ。区内の病院に入院していた高齢の夫妻が感染していると判明し、同室の入院患者1人と看護師1人に移っていたことが分かった」(葉上太郎「「もうベッドが足りない」「救急搬送を受け入れられない」……いま杉並区で起きている“医療崩壊”の壮絶な現場」文春オンライン2020年04月12日)


80代男性が転倒して頭を打ったことを理由に佼成病院を受診したとされる。この場合は妻が一緒に入院する理由はない。妻は元々入院していたのだろうか。それならば妻は入院中に感染したことになる。


逆に妻も入院前から感染していて夫婦が同時または相次いで入院したならば、入院時点で普通の肺炎とは異なる要素を見出すことができたのではないか。80代男性が頭を打って受診したことが、佼成病院にとって入院患者が感染者であったことを想定外とすることを許容する根拠になっている。しかし、妻の入院経緯も吟味する必要がある。いずれにしても、やはり週刊現代記事の批判「佼成病院の医療機関としての管理体制は杜撰」が説得力を持つ。


また、夫婦が入院前から感染していたとすると、夫婦の生活圏で地域的なクラスターが存在していた可能性がある。Twitterでは入院患者が何区の住民であるということが指摘されている。



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