立正佼成会附属佼成病院(杉並区和田、杏林学園教育関連施設)では新型コロナウイルスの院内感染が起きたが、最初の感染者の感染経路が不明である。FNN報道は「佼成病院では2月、頭部を負傷し入院した患者が感染し、同じ病室の入院患者や看護師などあわせて4人が感染した」と説明する(「「診療の半分を感染者対応に」 東京「佼成病院」が訴え」FNN 2020年5月4日)。この説明では最初に感染した患者も入院後に感染したように読める。
これまでの報道は感染していると気づかずに入院したとする立場になっている。東洋経済記事は「CT検査で肺炎が見つかり、入院することになった。発熱は37.6度。当初は「普通の肺炎」と考えられた」とする(井艸恵美「新型コロナ院内感染、そのとき何が起こったか 東京・佼成病院が経験した「苦闘の3週間」」東洋経済Online 2020年4月4日)。
日本の新型コロナウイルス感染症対策ではPCR検査抑制など患者に我慢を強いる対応が目立ちました。海外では突貫工事でコロナ専門病院を新設したことが注目されました。日本では中国の火神山医院や英国のナイチンゲール病院のようなコロナ専門病院の新設は規制があってできないと言われています。その日本でも軽症者向けにホテルの借り上げが行われ、要望として晴海選手村の活用が提案されました。既存の医療機関を支援し、強化するだけが対策ではありません。医療の枠を超え、新規参入者をサポートするための連携を考えていく必要があると感じています。
新型コロナウイルス対応ではICUや人工呼吸器の不足が問題になりましたが、医療需要全体で見れば急性期偏重から回復期・慢性期へのシフトが望まれます。新型コロナウイルスに限定しても、圧倒的多数が軽症者であり、回復期・慢性期への需要は大きいです。需要に応じるという観点では至極当然のことですが、治療を成果と見る医師の価値観では慢性患者の需要に応えるという発想が中々出てこないのではないかと感じています。それが急性期偏重の中々改善されない要因と思います。患者の需要が反映できるような制度設計が欲しいところです。
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