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執筆者の写真林田医療裁判

立正佼成会附属佼成病院への公開質問状(9)

更新日:2020年7月5日

患者の権利を守る会は林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)を踏まえて、立正佼成会附属佼成病院に2019年10月25日付で公開質問状(9)を送付しました。


立正佼成会附属佼成病院 

病院長 甲能直幸 様

公 開 質 問 状(9)

2019年10月25日

前略

秋の景色も濃くなって参りました。病院長様には、お元気でお過ごしのことと存じます。

本来なら参上してご挨拶・ご説明申し上げるところ、令和元年6月26日、貴院総務課 小林謙之職員より面談お断りのご連絡を頂いたため公開質問状(第1回令和元年6月30日)をご送付する運びとなりました。その後ご回答がないため督促を致しました。今回で9回目になります。

林田医療裁判の家族は、母親の死より2年経ってから、医師記録に書かれている以下の内容を始めて知りました。

8月20日「family(son)は 延命につながる治療を全て拒否。現在Divで維持しているのも好ましく思っていないようである。本日にてDiv終了し、明日からEDを再開する」

8月27日「抗生剤変更、増強したいところであるが、familyはやんわりとではあるが高度医療は拒否されている」

9月3日「familyの要望通り酸素吸入も行われない。当直時間帯のみ許可」

9月4日「基本的に酸素吸入は行われないが、夜間のみ少量の酸素吸入を行う場合あり

9月5日「夜間以外は酸素投与を行わずにフォロアップする」

9月7日「6:00AM family(息子)callの上自然死の方針を確認」

9月8日「SPO2 80台でありながら本日をむかえた!」

当時の家族達は、医師記録に書かれている内容を知りませんでした。母親の治療法が変更・中止されたこと、そして平成19年9月7日の朝には、母親は、すでに死ぬことが決められていて岩﨑医師は長男と確認をしていることなど家族達は全く知りませんでした。それどころかやるべき治療はやってくれているものと信じていました。

 平成19年9月7日夕方、担当の岩﨑正知医師が病室に来られました。

母親は、呼吸が苦しそうでしたが生きようと頑張って呼吸をしていました。岩﨑医師は、患者の面前で「苦しそうに見えますが今お花畑です」と意味の分からないことを述べられたのみで退室されました。

しかし、岩﨑医師は、当時のことを「異議が出なかったから同意したのだ」と主張されました。貴院では、これで同意を取ったことにされてしまうのでしょうか?

「インフォームド・コンセントをとる」ことは、今では一般的になっていますが、一口に「インフォームド・コンセントをとる」、と言っても医師によって色々だと思います。病院長様は、インフォームド・コンセントについてどのようなお考えをお持ちでしょうか?

 *****

○2019年10月9日 医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウムに林田医療裁判が取り上げられました。

○ 同 年 同 月17日 公立福生病院透析中止事件が東京地裁に提訴されました。

開かれた医療にするためには、市民と共に考え議論を深めることが大切です。

また公立福生病院事件は、自己決定権の問題や患者の意思によらない治療中止として林田医療裁判と重なる処があります。この点につきましては後日述べさせていただくことに致します。

林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく現代日本の医療の問題として問われ続けています。

いつものように、2019年6月30日付 第1回公開質問状を以下に掲載致します。ご回答は2週間以内に郵送でお願いします。この質問状は、ご回答の有無にかかわらずネット上に公開させて頂きます。

公開質問状の内容は、根拠のあるものです。とりわけ貴院は「患者さんの意思確認はしない」病院として関心を持たれています。是非ご回答をお寄せください。

深まり行く秋、朝夕の肌寒さを感じるこの頃です。お体をお大切にご自愛ください。


草々


*****

 公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回)

第1 質問事項

1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。

2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。

3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。

第2 質問の趣旨

 1  林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。

 2  そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。

3  従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。

以上

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