患者の権利を守る会が立正佼成会附属佼成病院に公開質問状(21)を送付しました。第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」の議論を取り上げています。これは2019年10月9日に東京地方裁判所で開催されたシンポジウムで、判例タイムス1475号(2020年10月号)に掲載されました。
林田医療裁判の関連訴訟として中野相続裁判が進行中です。これは長男夫婦が起こした裁判です。お時間のある方は応援傍聴お願いします!
2020年11月27日(金)1時半 さいたま地裁C棟 105法廷
JR浦和駅西口県庁通り徒歩15分
立正佼成会附属佼成病院
病院長 甲能直幸 様
公 開 質 問 状(21)
2020年10月28日
前略
判例タイムズ1475号(2020年10月号)に林田医療裁判が掲載されました。この内容は、第12回「医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」2019年10月9日に東京地方裁判所で開催されたものです。佼成病院からご回答が来ないままになっている公開質問状(10)(13)(16)でも第12回シンポジウムは記載してあります。
シンポジウムでは多職種のチーム医療がなされていないことを問題視する意見が出ました。「現在のポイントとしては多職種が関わったかというのが非常に大事で、そうすれば医師が気付かないところも看護師さんならば常日頃家族とも会っていますし、そういうことが分かっていた可能性もあるということで、やはりここから見えてくるのは医師が1人で決めているような書き方なので、この事例はそこが欠けているのではないかなと思います」(14頁以下)
佼成病院では長男が「延命につながる治療を全て拒否」し、長男の意向で治療方針が決められました。シンポジウムでは判決の事実認定について、以下のように整理されました。「結論としては、延命措置を依頼しないことが明示的に合意された事実は認めることはできないとなっております」(15頁)。
シンポジウムでは長男の意見が過激との感想が出ました。「この長男の発言とか意見というのは、よく読み返してみるとかなり過激ですよね。そのような
ことを言うかという感じですが、それに対して医療側は多分抵抗した可能性もありますが、何となくそれをやってしまったという状況です」(15頁)
参加医師からは林田医療裁判の普遍性につながる指摘が出ました。「10年ほど前に足立区のある地域の高齢者で、肺炎で入院した患者さんのDNARの設定率を調べたのですが、その時点では長男と同居しているとやたらDNARが設定されていました。私はそのとき長男って冷たいのだなと思っていたのです」(16頁)。
DNAR; Do Not Attempt Resuscitationは心肺停止状態になった時に二次心肺蘇生措置を行わないことを意味します。この指摘は、同居の長男の意向でDNARにされることが多いことを意味します。個人の自己決定権を無視し、同居の長男の意向で高齢者が死なされてしまう。同居の長男を安直に患者本人の代弁者や家族のキーパーソンにすることの危険性が感じられました。
林田医療裁判でも患者が心停止した際に「心肺蘇生を実施せずに死亡を確認」したことが「違法か違法でないかと、不法か不法でないか」という論点が指摘されました(16頁)。実際、患者本人も長女もDNARについて同意していないですし、DNARの説明も受けていないです。
佼成病院では、医師と長男の話し合いだけで患者の死が決められました。しかし他の家族は、知りませんでした。夕方、岩﨑医師は、頑張って呼吸をしている患者をみて「苦しそうに見えますが今お花畑です」と言われました。他の家族が岩﨑医師から聞いたのはこの言葉だけなのですが、後日家族は、「異議が出なかったから同意したのだ」と言われました。佼成病院では、意思表示の認定をどのように行っているのか公開質問状で何回もお尋ねしているのですが未だにお返事は来ていません。
この質問状は、ご回答の有無に関わらずネット上に公開致します。佼成病院が適切な医療を進めるための一助になれば幸いです。ご回答は2週間以内に郵送でお願いします。いつものように第1回公開質問状を以下に掲載致します。
草々
*****
公 開 質 問 状(2019年6月30日 第1回)
第1 質問事項
1.患者の家族の中の悪意ある人物により、経管栄養が操作されるリスクに対して、その予防や検知の対策を採っていますか。採っている場合、その具体的内容を教えてください。
2.複数人の家族の意見から本人の意思を推定する取り組み内容を教えてください。
3.「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の強調する繰り返しの意思確認を実現するために取り組みをしていますか。している場合、その具体的内容を教えてください。
第2 質問の趣旨
1 林田医療裁判では、経管栄養の管理や治療中止の意思決定のあり方が問われました。林田医療裁判の提起後には、点滴の管理が問題になった大口病院の連続点滴中毒死事件や自己決定権が問題になった公立福生病院の人工透析治療中止問題が起きました。また、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は2018年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に改定され、意思確認を繰り返し確認することが求められました。林田医療裁判において問われた争点は「終了」しているのではなく、現代日本の医療の問題と重なり問われ続けています。
2 そこで、私達は林田医療裁判を経験し又その経緯を知った者として、広く医療の現状と課題について考察し、患者の安全と幸せは何かを探求しています。そして、このような問題は広く社会に公開して議論を深めていくことが、適切な医療を進める上で不可欠であると考えています。とりわけ貴病院は、経管栄養の管理や治療中止の意思決定の問題について直面された医療機関として、適切な医療を進めるためのご意見をお寄せになることが道義的にも期待されるところであると思われます。
3 従いまして、上記の質問事項に回答をお寄せ頂けますよう要請いたします。この質問と貴病院の回答はネット上に公開することを予定しています。このような公開の議論の場により、医療機関と患者ないし多くの市民の方が意見を交わし、相互の認識と理解を深め、適切な医療を進める一助にしたいと考えています。この公開質問状の趣旨をご理解いただき、上記の質問事項に回答を寄せていただきたい、と切に要望します。ご回答を連絡先まで郵送してください。回答締切日を二週間以内にお願い致します。
以上
Bình luận