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  • 執筆者の写真林田医療裁判

公立福生病院透析中止事件提訴

公立福生病院透析中止事件の遺族が2019年10月17日、慰謝料と弁護士費用2200万円を求めて公立福生病院を運営する福生病院組合を東京地裁に提訴した。裁判は東京地裁民事第34部に係属した。民事第34部は医療集中部である。


損害賠償の根拠は、医師が治療行為の中止を提案し、治療を中止したことの違法性と、透析中止を撤回できる旨の説明を欠いたことを説明義務違反とする。医師が治療行為の中止を提案し、治療を中止したことは、同意殺人罪に加担すると評価しうるものであり、医師のあり方と背理する。病院側は翻意をはかる説得をした形跡がない。これは林田医療裁判と重なる。


透析中止の撤回の意思表示が無視されたことは問題である。自己決定権を尊重するならば自己決定権による撤回が認められなければならない。都合の良い意思表示のみ取り入れる姿勢は御都合主義である。


死亡患者は透析を中止したことで苦しい状態に陥った。透析中止の撤回を求めたが、病院は呼吸困難によって意識が混乱している状態ではなく、意識が清明であった時の本人の意思を尊重するとした。しかし、泣きわめいて叫んだ時の意思表示の方が心からの意思ではないか。


この種の議論は苦痛の生と安楽な死の二者択一とされがちであるが、手間をかけたくないだけであり、苦しみは除去されない。生きることは苦しいとしても、死ぬことはもっと苦しいと感じた。病院からは透析を止めると激しい苦痛になるという説明もなかった。不利益事実を説明しないマンションだまし売りと重なる構図である(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。


被告である福生病院組合の住所地からすると東京地裁立川支部になるが、東京地裁本庁には医療集中部があるため、被告代理人の了解を得て本庁に提訴した。管轄合意書を付けた。相手の同意なく自分の住所地で提訴して移送された中野相続裁判の原告長男夫婦の自己中心主義とは大違いである。


公立福生病院事件を考える連絡会は17日の夜に東京都港区の東京都障害者福祉会館で「公立福生病院透析中止事件提訴報告集会」を開催した。登壇した透析患者さんは「透析をすることで楽になった。殺人罪になると思う。あってはならないことが起こってしまった」と語った。


質疑応答では福生病院が鎮静剤ドルミカムを投与していることに関心が集まった。投与したドルミカム12管は通常の使用と比べて大量である。透析をすれば苦痛は軽減される。透析再開は可能であった。その場合、鎮静剤は不要になる。


ドルミカムの大量投与が直接の死因ではないかとの疑問が出た。この点について代理人弁護士は、こちらから主張の幅を狭めることはしないと述べた。これは林田医療裁判を踏まえると重要である。林田医療裁判は証人尋問になって医師が唐突にカルテ記載の死因を誤診と主張し、院内感染とした。


医者のコミュニティサイトでは死亡患者が手の施しようがない状態だったという無責任な説明がなされているが、虚偽である。根拠のないことで事実を矮小化している。


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