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執筆者の写真林田医療裁判

強制不妊国賠訴訟で国に賠償命令

更新日:2022年2月26日

おおさか強制不妊手術裁判の控訴審判決が2022年2月22日に出され、国に2750万円の賠償を命じた。旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、障害を抱える近畿地方の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた国賠訴訟である。太田晃詳(てるよし)裁判長は、一審大阪地裁判決を取り消し、原告側の逆転勝訴とした。

The Osaka appellate court ordered the government to pay 27.5 million yen in compensation on February 22, 2022 in forced sterilization trial.


判決は重大な人権侵害と指摘する。「子をもうけて生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれた」(「強制不妊、国に初の賠償命令 旧優生保護法は「違憲」 大阪高裁」時事通信2022年2月22日)

「人権侵害が強度で、除斥期間の適用を認めない」(「強制不妊、控訴審判決で国に初の賠償命令…大阪高裁「人権侵害が強度」「除斥期間の適用認めず」」読売新聞2022年2月22日)。

除斥期間の適用を認めると「著しく正義、公平の理念に反する」(「強制不妊、国に初の賠償命令 旧優生保護法、請求権消滅せず」共同通信2022年2月22日)


原告は、いずれも聴覚障害のある高齢夫婦と、知的障害のある70代女性の計3人。夫婦の妻は昭和49年、帝王切開の際に知らぬ間に不妊手術を施され、子供は出産後に死亡した。70代女性は、日本脳炎の後遺症で知的障害となり、40年頃に手術を受けさせられた。


控訴審で原告側は、旧法に基づく手術が、国の「戦後最大の人権侵害」と改めて訴えた。国が旧法を改正したのは、手術から20年以上が過ぎた平成8年。合法とされた状況下で、原告は「賠償請求権自体を認識できなかった」として、20年の除斥期間を適用すべきではないと主張。適用するとしても不法行為の起算点は、当時の厚生労働相が国会で被害者の救済について言及した平成16年3月とするよう求めていた。


一審判決は、「極めて非人道的かつ差別的で合理的な根拠はない」として旧法を「違憲」と認定。幸福追求権を保障する憲法13条や、法の下の平等を定める憲法14条に違反するとした。ところが、賠償請求権については不法行為から20年で消滅する民法の除斥期間を適用し、手術から既に40年以上が経過したことを理由に、3人全員の訴えを棄却した(「強制不妊訴訟で国に初の賠償命令 大阪高裁」産経新聞2022年2月22日)。

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