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  • 執筆者の写真林田医療裁判

佼成病院や京大病院、高濃度薬剤投与で患者死亡

立正佼成会附属佼成病院や京都大医学部付属病院で、高濃度の薬剤を誤投与し、患者が死亡する医療事故が起きた。立正佼成会附属佼成病院で都内の女性(80)が高濃度の検査薬を誤って投与され、消化管が壊死(えし)して死亡した。


女性は2011年9月22日、胃がんの内視鏡検査を受けた際、男性内科医(34)から原液を水道水で薄めた約25%の高濃度の酢酸を検査薬として体内に散布された。酢酸は病変部分を見やすくするために使うもので、本来は約2%の濃度が適切だったという。


京都大医学部付属病院(京都市左京区)では、腎機能障害のある心不全の男性入院患者に、注射薬の炭酸水素ナトリウムを処方する際、誤って本来投与すべき薬剤の6.7倍の濃度の同一成分製剤を投与した結果、6日後に死亡した(「京大病院で薬剤の濃度を誤って投与、入院患者が死亡 止血でも、ミス重なる」京都新聞2019年11月19日)。本来は濃度1.26%の炭酸水素ナトリウム注射液を投与すべきだったが、成分は同じながら、商品名の異なる濃度8.4%の製剤を誤投与してしまったという。


佼成病院も京大病院も患者が苦しみを訴えていても無視した。佼成病院では患者が投与直後に嘔吐などの症状を訴えたが、血液検査などの適切な処置をせず、内科医は薬を処方して帰宅させた。医師は女性の家族に「検査が長引いたため、吐き気を感じている」と説明しただけであった。


京大病院でも患者は炭酸水素ナトリウムの点滴開始直後から血管の痛みや顔面のほてり、首のしびれといった症状があり、「医師を呼んでほしい」と訴えたが、看護師や医師は造影剤によるアレルギー反応の有無に気を取られ、誤った処方に気づかないまま投与を継続したという。


佼成病院患者の女性は同日深夜に症状が悪化。別の病院に緊急搬送され開腹手術(腸管壊死部分の切除手術)を2回受け、10月12日時点で集中治療室に入っていたが、10月14日に死亡した。恐ろしい医療事故である。検査で死にいたらしめられることは、やりきれない。絶望感にさいなまれる。地雷原に立たされている気分になる。


ブログでは以下のように指摘された。「80代というご年齢で、腸管が壊死して2度も切除手術を受けることになり、どれだけ、苦しくて、辛かったことでしょう」「適当に、においを嗅いで酢酸を薄めたなんて、考えられません」(「医療過誤 80代女性死亡 (立正佼成会付属佼成病院)」『明けない夜~私の医療事故体験記~』2013年8月9日)


「内科医は院内にあった酢酸が高濃度だと危険、壊死が生じる、という認識を欠いていたようです。注意義務違反は重大で、結果も重大です」(「立正佼成会付属佼成病院,薬剤の濃度を誤り患者重篤に」『弁護士谷直樹/医療専門の法律事務所のブログ』)


警視庁捜査1課は2013年6月27日に男性内科医(世田谷区)を業務上過失致死容疑で東京地検に書類送検した。本来は酢酸と水を計量して検査液を作るが、医師は臭いの強弱で濃度を判断していた。調べに「内視鏡検査を早く終わらせようと思い、臭いに頼って希釈してしまった」と供述しているという。男性内科医は書類送検時点で別の病院に勤務しているという。


「佼成病院の医療ミス、重体女性が死亡 高濃度酢酸誤投与」産経新聞2011年10月12日

「医療過誤:80歳、重篤に 酢酸濃度7~15倍-東京・中野の佼成病院」毎日新聞2011年10月13日

「高濃度の検査薬誤投与で80歳女性が重症 立正佼成会付属佼成病院で医療ミス」産経新聞2011年10月14日

「医療ミス:検査薬濃度誤った女性患者が死亡」毎日新聞2011年10月14日

「医療ミスで重篤の患者死亡 東京・中野の佼成病院」日本経済新聞2011年10月15日

「薬濃度を誤り女性が重態~立正佼成会付属佼成病院~」ココヤクNews2011年10月16日

「酢酸濃度誤り女性患者死亡、男性医師を書類送検 警視庁」日本経済新聞2013年6月27日

「酢酸誤使用で患者死亡 業務上過失致死容疑で医師を書類送検 警視庁」産経新聞2013年6月27日

「酢酸希釈「におい頼り」女性死亡…医師書類送検」読売新聞2013年6月27日

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