小池百合子東京都知事や大野元裕埼玉県知事ら首都圏1都3県の知事は2021年1月2日、西村康稔経済再生担当相と面会し、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を要請した。地方自治体から緊急事態宣言を要請される国が情けない。言われないと動かないという公務員の申請主義の悪癖がある。
大野知事は「1カ月かけて高齢者施設のクラスター(感染者集団)対策をしてきて、割合は減っているが、それでも全体の数の上昇に引きずられてコントロールできない状況にある。もう一歩、何らかの措置を進めなければならないと強く感じた」と話す(鷲頭彰子「感染「制御できない状況」 埼玉知事、政府に緊急事態宣言要請」毎日新聞2021年1月3日)。
西村氏は「緊急事態宣言が視野に入る厳しい状況だとの認識を共有した。(再発令の要請を)受け止めて検討していく」と語る(「西村担当相、緊急事態宣言「受け止めて検討」 1都3県知事が要請」産経新聞2021年1月3日)。「検討」が官僚答弁でないことを望む。
政府は緊急事態宣言に消極的と報道される。本音は自身の点数稼ぎである。「今回の要請を追認する形で宣言発令に踏み切れば、政府の新型コロナ対策が失敗だったと認めることにもなりかねない。内閣支持率の下落で足元が揺らぐ首相にとって、さらなる打撃となるのは必至だ」(「緊急宣言、効果を疑問視 特措法改正を優先 政府」時事通信2021年1月3日)。政府全体が自分の点数稼ぎしか考えないヒラメ公務員体質になっている。
緊急事態宣言に感染抑制の効果があることは2020年4月から5月の緊急事態宣言で実証されている。緊急事態宣言の効果を疑問視との主張はエビデンスに基づかない。
緊急事態宣言の休業要請に強制力が生じないとするが、政府は万能の神ではないし、神のような権限を与えるつもりもない。公務員は民間に負担を負わせることばかり関心を持つが、緊急事態宣言をすれば公共機関の不要不急の活動は止まるので、そこの効果が大きい。公共機関は民間に先んじて緊急事態宣言対応をしてもよい。そもそも政府の要請が効果を持たない原因は、政府自身がGotoキャンペーンで感染予防意識を弱めたことにある。
政府は新型コロナ対策の実効性を高めるための特別措置法の改正を優先させたいと報道される。しかし、これも成り立たない。与党は特措法改正案を提出した野党を押し切り、審議せずに国会を閉会した。国会開会は1月18日からである。国会は未だ召集されておらず、法律が成立する目処もない。緊急事態宣言は正月明けにも出すべきものである。
緊急事態宣言を速やかに出さない方が国民は振り回される。いつ緊急事態宣言を出すかという不安定な状態に置かれ続けるためである。
当初は東京都と埼玉県が要請すると報道されていた。当初は埼玉県のみと報道されていた「小池百合子都知事が午後に西村康稔経済財政・再生相と会談して要請する。関係者によると会談には埼玉県の大野元裕知事も同席し、ともに宣言の発令を求める」(「東京都、政府に緊急事態宣言を要請へ 感染者急増で」日本経済新聞2021年1月2日)。その後に千葉県と神奈川県が加わった(「緊急事態宣言の要請は東京都と首都圏3県」共同通信2020年1月2日)。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19; coronavirus disease 2019)患者が急増している。東京都では2020年12月31日に1337人の感染を確認した。1日あたりの新規感染者数として過去最多。既に入院したくても入院できないなど医療機関は患者の需要に応えられておらず、医療崩壊は現実に起きている。
Yahoo!ニュース「みんなの意見」「緊急事態宣言の再発令、どう思う?」は2020年11月24日から始まっている。2021年1月2日時点で706,173人が投票した。「再発令が必要」77.9%(550,133票)、「再発令は必要ない」18.1%(127,908票)、「どちらとも言えない/分からない」4%(28,132票)。再発令が必要との意見が圧倒的であった。
政府は2020年4月7日に東京や大阪など7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。その後、全国に対象地域を拡大し、5月25日に全国で解除した。中野相続裁判さいたま地裁第14回口頭弁論は4月10日の予定であったが、延期された。中野相続裁判第17回口頭弁論(2021年1月29日)も期日が変わる可能性がある。
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