東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県の知事は緊急事態宣言とまん延防止措置の延長を共同で政府に要請した。変異ウイルスの広がりで重症化率が高まるなど、「解除できる段階にはない」とする。小池百合子都知事は延長の幅を「だいたい1か月くらい」とする(「首都圏1都3県「宣言」など延長共同要請、小池都知事「延長幅は1か月」」TBS 2021年5月26日)。
小池百合子知事は5月27日に「いま、こらえどころだと思う。何度もこらえどころがあったが、しっかりと対応していくことが、この間もみなさんにご協力いただいているのが水泡に帰すのはあまりにもったいない」と語った(「小池都知事「いまがこらえどころ」 宣言延長要請、措置内容は「検討中」」Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE 2021年5月27日)。緊急事態宣言解除後にリバウンドを繰り返しており、「こらえどころ」は正しい。
宮崎県の男性は子どもが通っている学校で陽性者が出て、家庭内感染し、父親を亡くした。「本当にまもらないといけない命がどんどん削られていると思う。私からすれば、宮崎市長や県知事が「出ないでください」と優しく言われていますけど、私の気持ちからすれば、「みんなを鍵してでも出るな」と言いたいですよね」(「新型コロナ第4波で感染した宮崎県の男性 家庭内感染に父親の死…男性が世の中に伝えるメッセージ」テレビ宮崎2021年5月20日)
コロナの検査や治療には大きな需要がある。市場原理が機能していれば新規参入によって需要を満たすようになるのに、そのようになっていないことに規制と利権の不合理がある。
新型コロナウイルス感染症は子どもにもリスクのある病気である。日本で高齢者の死者が集中している原因は、高齢者側の問題ではなく、既に命の選別が事実上行われているからだろう。
ブラジルでは1年間のパンデミックで、1300人以上の乳幼児が新型ウイルスのため死亡した(「新型ウイルスで命を落とす子供たち ブラジルで1300人も」BBC 2021年4月16日)。
「西部ムンバイ(旧ボンベイ)にあるP・D・ヒンドゥージャ国立病院(P.D. Hinduja National Hospital)のコンサルタントは、新たな感染の波では12歳未満の子どもたちも入院していると言う」(「子どもや若者の感染者・死者増に懸念、インドの新型コロナ」AFP 2021年4月26日)
日本では非対面非接触のNew Normalの取り組みが遅れている。学校ではオンライン授業が求められている。学校に行かないから自殺が減ったという面がある。日本には満員電車というものがあるために忘れられがちですが、学校という場は満員電車に次いで密である。職場は分業による効率化追及により、密ではなくなっており、学校が旧態依然のまま残っている。
大阪市では松井一郎市長が「子どもの命を守ることを最優先にコロナ対応の手段としてオンラインを活用した」。これに対して大阪市立木川南小学校長は大阪市長の進めるオンライン授業推進を批判する意見書を出した(「学校は混乱極めた」 現職校長、実名で大阪市長を批判」朝日新聞2021年5月20日)。
オンライン授業はコロナ禍の中で健康を守るために当然進めるものである。オンライン授業で混乱を極めたということの批判ならば、進め方の改善提言をすればよく、オンライン授業そのものの否定にならない。意見書は目標管理制度や生徒の評価の批判もしており、趣旨が不明確である。
テストの点数で評価されるよりも、教員の主観や恣意で評価される方が生徒にとっては不合理である。目標管理が負担と言うが、民間労働者ならば当たり前にやっていることである。形だけ民間の真似をして、形式的な点数稼ぎになっている点が公務員組織の目標管理の問題である。
国際オリンピック委員会IOCのジョン・コーツ調整委員長は緊急事態宣言が出されている状況下でも五輪を開催する意向を示した。この発言は緊急事態宣言延長判断の制約をなくすという意味はある。緊急事態宣言を出すべき状況でも、五輪開催という政治判断のために出さないということは避けられる。オリンピック強行開催をオリハラとなる。
トーマス・バッハ会長は2021年5月23日に「五輪の夢を実現するために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と発言した(「バッハ会長も五輪予定通り開催強調「最後のカウントダウン」コーツ氏発言を“後押し”」デイリースポーツ2021年5月22日)。個々人に犠牲や負担を押し付ける資格はない。国民に犠牲を要求するとは日本政府は舐められている。
毎日新聞記事は「われわれは犠牲を払わなければならない」とする。「「われわれ」に日本人を含める意図があるのかは不明だが、国民感情に配慮を欠く発言として反発を招きそうだ」(「IOCバッハ会長、五輪のために「犠牲を」 反発必至」毎日新聞2021年5月24日)
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のアニメ映画公開は新型コロナウイルス対策で2021年5月7日から延期された。当初は5月21日に延期されたが、緊急事態宣言延長で再延期になった。二週間では状況が劇的に好転しなかった。東京都だけ緊急事態宣言により、都民が映画を見るために他県に移動し、逆に人流が増えるという本末転倒が起きかねない状態である。『閃光のハサウェイ』で描かれた地球連邦政府の腐敗は、自分達は宴会する厚生労働省や大阪市市役所など日本の公務員の腐敗と重なる。
2020年4月の緊急事態宣言は人流の抑制に大きな効果があった。この時は緊急事態宣言に先行して学校が休校し、公務員組織が動いた。公務員組織は平常運転で民間に我慢や負担を押し付けることは不公正である。東京23区で唯一リアル会場の成人式を開催した杉並区の田中良区長はもっと批判されていい。民間は休業で、行政のイベント開催は筋が通らない。
東海大学男子柔道部の学生55人が2021年5月13日までに新型コロナウイルスに感染した。男子柔道部は神奈川県平塚市にある湘南キャンパスを拠点に活動しており、東海大学は14日から23日まで、学生の湘南キャンパスへの入構を禁止する(「東海大 男子柔道部 学生55人が新型コロナ感染確認」NHK 2021年5月14日)。
東海大学では硬式野球部の複数の部員が神奈川県平塚市にある野球部の寮で大麻と見られる違法薬物を使用した疑いがある。東海大学は2020年10月に硬式野球部の無期限活動停止を発表した(林田力「東海大学硬式野球部が違法薬物使用で無期限活動停止」ALIS 2020年10月22日)。運動部大学生の大麻汚染に対して、コロナ禍で部活動ができなくなったことを原因とする見解がある。しかし、部活動したらクラスターが発生する。New Normalへの適応が課題になる。
新型コロナウイルス感染症治療などで行われる人工呼吸管理を補う新しい選択肢として、尻から酸素を送り込み呼吸不全を改善する研究が進められている。換気などを意味する英単語の頭文字を取ってエヴァ法と命名された。液体を使った呼吸が登場するアニメ『エヴァンゲリオン』にも影響を受けたという(「尻から酸素、呼吸不全を改善 コロナ治療に応用も」共同通信2021年5月15日)。『エヴァンゲリオン』から命名する点に世代があるだろう。もっと新しければ『鬼滅の刃』風に尻の呼吸となるかもしれない。
Stop COVID-19
林田医療裁判を考える会
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