賃金格差8万円是正をはじめ介護職員の抜本的な待遇改善を求めます
- 林田医療裁判
- 19 時間前
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全国老人福祉問題研究会は2025年5月1日付でアピール「賃金格差8万円是正をはじめ介護職員の抜本的な待遇改善を求めます」を発表しました。
賃金格差8万円是正をはじめ介護職員の抜本的な待遇改善を求めます
第9期介護保険事業計画に基づくと、2040年度には約272万人の介護職員を確保する必要があると推計されています。今後、毎年3.2万人の介護職員数を補うことが喫緊の課題です。しかし現状では、離職超過、つまり介護業界に来る者よりも去る者の方が多い状況です。介護職員を養成し、輩出する介護福祉士養成校は、介護職の専門教育機関であり、超高齢社会における介護職員の確保と質の向上に重要な役割を担い、専門学校や短期大学、大学の社会福祉学科など多岐にわたります。介護保険制度施行前後から全国各地で開設され、介護職に夢や希望を抱いて多くの学生が入学し、卒業後は介護現場で働いてきました。しかし今日では、介護福祉士養成校は次々と学生募集を停止し、2006年度の入学者数は19,289人でしたが、2024年度には6,546 人と激減しており、介護現場で人手不足が起こることは避けられません。さらに、専門学校でも約半数の入学者は外国人留学生が占めています。
このような実態の背景には、人の命を預かる仕事であるにもかかわらず、介護職の待遇の悪さがあります。今日、各分野の人手不足による採用活動の激化や物価上昇により、初任給を引き上げる企業が増加、大卒新入社員の初任給を10万円程度引き上げ35万円前後にする企業も出てきています。その一方で、全産業平均と介護職員の月給の差が8万円以上あることが示され、国は、賃金格差が問題の根源であることを承知しながら、待遇改善を図るのではなく、ICT(情報通信技術)の活用や生産性の向上、外国人介護士や元気高齢者の採用で乗り切ろうとしています。
介護現場では人手確保が年々困難となり、各介護事業所の努力だけでは対応できないと悲鳴があがっています。国が介護職員の賃金大幅引上げを行い、抜本的な介護職員確保対策を講じない限り、介護現場に人は集まりません。いまの待遇のままなら、介護福祉士養成校への入学希望者はいなくなり、養成校は消滅し、介護現場の人手不足がますます深刻化します。それは、わが国の介護現場が崩壊することを意味します。
1977年のILO看護職員条約は、看護・介護職員を健康権・社会保障権等の人権保障の担い手とし、その労働・生活条件の保障を国の責任としています。働く人々の人権が政府によって保障されてこそ、魅力ある職になり、人々の人権を保障するという使命が果たせるからです。
全国老人福祉問題研究会は、介護職に夢と希望を抱いて、介護福祉士養成校へ入学する者が増加するよう、さらには介護職に魅力を感じている人々が離職しないよう、介護職員の待遇の抜本的改善を求めます。

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