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執筆者の写真林田医療裁判

身近にひそむアスベストの健康被害

学習会「身近にひそむアスベストの健康被害」が2019年7月12日に、さいたま市浦和区の浦和コミュニティセンターで開催された。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会とエタニットによるアスベスト被害を考える会が共催。アスベスト被害者を支える会が協賛。


開会の挨拶では建築物の解体工事で新たなアスベスト被害が生まれているなどと指摘された。


「身近にひそむアスベストの健康被害」でも、アスベスト建材が大量に使用された建築物の改修・解体工事の問題が指摘された。事前のアスベスト調査が重要であるが、不十分な実態がある。リスクコミュニケーションという形で工事を監視する必要がある。


「さいたま市のアスベスト事情と健康試行調査」ではアスベストばく露が労働者だけでなく、周辺住民に起きていると指摘された。解体建材をリサイクルした再生砕石にアスベストが含まれるという問題がある。


さいたま市にあったアスベスト企業として日本エタニットパイプ大宮工場が知られている。それだけでなく、東急車輛製造埼玉製作所などもある。


埼玉県立総合教育センターの解体計画でアスベスト飛散が懸念される。アスベスト飛散事故のない解体を求める地域住民の活動が期待される。


浦和ナカギンザのアーケード商店街の通路に吹き付けアスベスト(クロシドライト)が落下した。アーケード内には保育園があり、転園させた。アスベストばく露の記録を残させた。会場には採取されたアスベストが展示された。


住民向けのアスベスト健康被害の救済制度は、労災に比べて検診や補償が不十分である。さいたま市の試行調査では石綿関連所見ありは84名中27名と高い割合である。その半数がどこでばく露したかを特定できていない。アスベスト拡散の深刻さを感じた。


「母は職場でばく露し、中皮腫に」はアスベスト被害患者の体験談。見沼区の工場で働いていた。突然体調不良を訴えた。尋常ではない痛みで、精密検査を受けたら、すぐに入院となった。3カ月で亡くなった。家族としてはどんな状態でも生きていて欲しい。


「石綿健康管理手帳を作ろう」は、厚生労働省の発行する石綿健康管理手帳の意義を説明した。石綿健康管理手帳は指定された病院で年二回無料検診が受けられるが、取得に要件があり、職場を転々とする建設労働者は取得しにくいという問題がある。


また、石綿被害の裁判の話もあった。さいたま地裁に第三陣の提訴を準備している。


「エタニット・アスベスト公害の証言」の中では、さいたま市の試行調査で、過去に居住していたことという要件があることはおかしいとの指摘がなされた。要件の撤廃を申し入れたい。


「マスクプロジェクト」はアスベストを通さないマスクの付け方の講習。一般のマスクと比べて密着している。防災グッズとして備蓄すると良い。


質疑応答では「水道水は大丈夫か」との質問がなされた。水道水に入っている。水で飲む場合は発症しないとされているが、絶対ないとは言いきれない。水道管の交換が進んでおり、1%以下とされる。


また、浦和ナカギンザのアスベストの状況も質問された。通路の上のアスベストは除去した。商店の上は封じ込めた状態。落ちてこないか気になる。解体時はキチンとやらないと不味い。

浦和ナカギンザから採取されたアスベスト

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