必要な外出を不要な外出にしていくことが新型コロナウイルス感染対策である。緊急事態宣言は午後8時以降の外出を強調するが、新型コロナウイルスは夜行性ではない。感染リスクは日中と夜間で変わらない。日中も含めた外出抑制が強く求められる。
田村憲久厚生労働大臣「午後8時以降でなくても不要不急の外出は、なるべく避けてほしいというのが、われわれの思い」（「「日中も不要不急の外出自粛を」 田村厚生労働相」NHK 2021年1月12日）。
小池百合子東京都知事「コロナウイルスは時計を持っておらず、午後8時だろうが昼間であろうが、不要不急の外出は控えるようずっと前から言っている」（「小池都知事「コロナウイルスに時計ない」昼間も外出自粛を」NHK 2021年1月13日）。
不要不急の外出自粛と言われるが、必要な外出ならば新型コロナウイルスに感染しないものではない。必要が外出でも感染リスクはある。可能な限り外出を控えることに意味がある。不要不急の外出を避けることは当然であり、必要な外出を不要にしていく工夫が重要である。
政府は出勤者の7割減を打ち出している。民間企業は自主的にもっと厳しい目標を掲げているところもある。日立製作所は1都3県で原則在宅勤務にするとともに、出社率を15％以下に引き下げる目標を掲げた（「出社率引き下げ、午後8時帰宅 産業界、緊急事態宣言で対策徹底」時事通信2021年1月8日）。富士通は「出社率を最大でも25％程度にコントロールする」（松浦龍夫「緊急事態宣言で出社制限強まる、それでもNEC・日立・富士通ににじむ平静」日経クロステック2021年1月8日）。
公共機関は自らの業務を考える必要がある。自分達は通常営業で民間に負担を負わせるだけは成り立たない。国は緊急事態宣言でも保育園の原則開園としていたが、東京都世田谷区は2021年1月12日から「通常保育」を「規模を縮小した保育」にし、登園自粛の協力を要請した（「保育園、一部自治体が「登園自粛」求める 原則開園が…」朝日新聞2021年1月14日）。
不要不急というと個人的な用事が浮かびやすいが、一人で散歩したり、買い物したり、外食したりすることの感染リスクは低い。公務の移動をどれだけ減らせるかが問題である。Go toキャンペーンも、おひとり様消費ならば、それほど問題なかった。
一人のランチを問題視することはピント外れである。サイゼリヤの堀埜一成社長は2021年1月13日の決算会見で、政府がランチでも感染リスクが高いと注意を呼びかけたことについて、「きょうまた、ランチがどうのこうのと言われて、ふざけんなよと」と述べた（「政府の相次ぐ要請に猛反発 サイゼリヤ社長「ふざけんなよと」」2021年1月13日）。
公の補償が売上額や納税額と比べて不公正感があり、個人店は休業した方が利益になるケースもある。大阪府の協力金150万円の時短要請に批判の声が出ている。「地域や規模、家賃によって協力金でボロ儲けしている飲食店もあります。税金なんですし、使い方をもっと考えて欲しい」（「大阪・吉村知事の『お願い』に賛同の一方で…「ボロ儲け飲食店」「その他の業種支援」への意見も」中日スポーツ2021年1月21日）
東京都の2021年1月12日の新型コロナウイルス新規感染者数は970人。久しぶりの千人割れであるが、休日明けということで通常の月曜日の減少と同じ意味合いだろう。重症患者は144人で過去最多。1月13日の感染者数は1433人。年代別では10代が394人、30代が275人、40代が202人、50代が198人、65歳以上が187人。重症者は141人。1月14日の感染者数は1502人。
各地の保健所で濃厚接触者への調査を縮小する動きが出ている。これをすれば発表される感染者数は減るが、実際の感染は広がるだろう。入院できない感染者も増えている。検査と隔離という感染症対策の基本に逆行する。このままでは重症者数や死者数が激増するだろう。重症化率、死亡率も激増するだろう。
入院待ちをしている間に自宅で容態が急変して亡くなることがある。埼玉県では2020年4月に東松山市の70代の男性、白岡市の50代の男性と自宅待機中のコロナ感染者が相次いで死亡し、県の対応が批判された。同じことが起きている。
東京の80代の男性は入院先調整で自宅療養中の2021年1月11日日朝に症状が悪化し、救急搬送先の病院で亡くなった。東京都の担当者は、「適切に入院できていればこういった事態を招かなかったかもしれない」とする（「東京で１４３３人 入院先見つからず死亡も」日本テレビ2021年1月14日）。
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