薬害根絶デー2025文部科学大臣宛要望
- 林田医療裁判
- 4 日前
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全国薬害被害者団体連絡協議会は2025年薬害根絶デーの第27回文部科学省交渉で文部科学大臣宛に要望書を提出します。
文部科学大臣 あべ 俊子 様
2025年8月26日
全国薬害被害者団体連絡協議会
代表世話人 花井十伍
私たちは、1999年8月24日に厚生労働省敷地内に「薬害根絶誓いの碑」が建立されて以来、毎年この日を「薬害根絶デー」と定め、被害者が一堂に会し、多発している薬害の根絶を目指して、行政との話し合いをすすめています。
今年も「子どもたちを将来、薬害の被害者にも加害者にもしない」ために、下記の通り要望しますので、真摯かつ前向きな回答と意見交換をよろしくお願い致します。
要望書
<Ⅰ>文部科学行政全般に関して
【1】繰り返されている薬害被害の根絶には、当事者の声に耳を傾けた上での適切かつ的確な文部科学行政が不可欠です。そのため、<別紙>の通り、文部科学大臣は、毎年私たち薬害被害者の声を直接聞き、薬害被害防止に努める約束をされました。その約束の通り今年も文部科学大臣の出席をお願い致します。
<Ⅱ>公教育(小・中・高の教育)に関して
【1】薬害防止教育教材「薬害を学ぼう」の配布等に関しては、毎年、全国の教育委員会に文部科学省と厚生労働省の連名で事務連絡を発出して頂くと共に、全国の社会科担当指導主事、人権教育担当指導主事や校長・副校長等を集めた会議等において、教材や、薬被連の講師派遣の問い合わせ窓口も紹介して頂いており、文部科学省のメールマガジンでも教材等を紹介して頂いているところです。しかし、まだまだ十分に周知されているとは言えず、今年度以降もこれらを続けていただくと共に、文部科学省は厚生労働省と連携しながらも文部科学省として主体的に薬害防止教育の推進に関わっていく姿勢を見せてください。
【2】高等学校の公民科の「公共」及び「政治経済」の平成30年告知の学習指導要領解説に薬害について明記されましたが、いまだに「薬害を学ぼう」の冊子が配布されても「教科書に掲載されていない内容や、大学入試に出題されることのない内容を、教科の授業の中で扱う余裕がない」と話す公民科の教員は少なくありません。文部科学省は各都道府県で実施される教育課程協議会等の機会を利用して、公民科の教員に学習指導要領解説に「薬害」について明記されたことを周知して下さい。
【3】現在、次期学習指導要領改訂の議論が進められていますが、現在の学習指導要領が実施された年から、全国の高等学校の公民科の教員宛に毎年「薬害を学ぼう」の冊子が配布されているにもかかわらず、公共や政治経済の教科書において薬害についての記載が十分でないこともあり、いまだに薬害について授業で触れられていないケースが多くあります。このため、次期学習指導要領の改訂においては、これまで以上の学習指導要領解説において薬害に関する記述充実させるだけではなく、学習指導要領そのものに、公害と並んで薬害を記載することを強く要望します。そのために、次期学習指導要領改訂に向けたスケジュールについても明らかにしてください。
【4】小中高の公教育においては学校薬剤師による「薬物乱用防止教育」が特別講義のような形で多くの学校で実施されています。同様に、学校薬剤師による「薬害防止教育」が、人権教育や道徳教育、総合的な探究の時間等とも関連付けて「薬害を学ぼう」の教材等を活用して実施されるよう方策を講じてください。これらは、高等学校の保健体育や公民の授業でも取り扱われうる内容ですが、小中校の子どもたちが学校薬剤師から薬害について学ぶことも重要であると考えます。そのために、学校薬剤師が集まる場などにおいて「薬害を学ぼう」の冊子を配布し、薬害防止教育を進めている現状を伝えてください。
<Ⅲ>大学などの高等(専門)教育に関して
【1】毎年度まとめて頂いている「薬害問題に対する各大学の取り組み状況」について今年度も最新の状況を明らかにして下さい。全大学において、薬害被害者の声を直接聞く授業を実施して、適切な倫理教育および人権教育等がなされるよう、毎年、要望していますが、実施率が低いままの、看護学部や看護学科に対しては、実施した大学から非常に高い学習効果があったことが学生の感想文等によって報告されていることを周知する等して、実施率が高まるように対処して下さい。さらに、複数の薬害被害者の声を聞き、教員が薬害について講義して単位認定するような科目が各大学においてていきょうされるようになるために、そのモデルの開発をする大学を指定および支援し、早期に全国の大学において、そのような科目が提供されるようになるような方策を講じて下さい。
【2】全国の中学校および高等学校に「薬害を学ぼう」の学習教材が毎年配布されている中、公教育の教員を目指す学生が学ぶ教職課程において、薬害について学んでおくことが非常に重要です。そのため、文部科学省は7年前より「教職課程認定申請の手引き」の末尾に、薬害に関する教育についての情報を掲載し、一昨年度からは「薬害を学ぼう」の冊子の内容全てや文部科学省の通知を掲載されました。これらは今後も続けてください。特に公民、保健体育、養護教諭の免許を取得する教職課程において「薬害を学ぼう」の教材を活用した教育が実践できるように、具体的なカリキュラムを組む等の方策を講じて下さい。
【3】インターネット上の医師専用や医療関係者専用の掲示板で、医学部等の教育に携わる教員や、医学部等の学生による、薬害被害者らへの偏見や誹謗中傷の書き込みなどの人権侵害が発覚した場合、これまで通り、文部科学省にご報告させて頂きますので、今後も、厳重な処分と再教育をお願いします。医療に携わる学生に対して薬害等医療被害者の体験と思いを伝え、倫理・人権教育等の充実を進めてください。
【4】文部科学省は高等教育を受ける学生に対して、有効性や副作用が未知である新型コロナワクチンや個人防御のためのHPVワクチンの接種を推奨しないようにして下さい。特にインターンシップや臨床実習を受ける医療系の学部等の学生に対して、接種の選択の自由を保障すると共に、接種しなかったことで学生に不利益が生じたり、教育を受ける権利が侵害されることのないよう十分な配慮策を講じて下さい。
<Ⅳ>生涯学習に関して
【1】以前より「全国生涯学習社会教育主幹部課長会議」や「消費者教育に関する全国協議会」、「社会教育指導主事養成講習」等において「薬害を学ぼう」のパンフレットを配布していただいく等を通じて薬害防止教育を人権教育や消費者教育として推進していただいていますが、今年度以降も続けてください。
<Ⅴ>大学附属病院に関して
【1】毎年、国立大学法人の附属病院で、薬害被害者や医療被害者の声を直接聞く職員研修を積極的に実施するよう病院長会議等で周知していただいているところですが、その進捗状況等を教えてください。
【2】全国の医療機関の模範となるべき大学附属病院において、カルテ開示ができる旨をどのように知らせ、患者との情報共有に向けて努力しているかを調査すると共に、実際になされたカルテ開示請求件数とその経年推移も調べて下さい。また、患者が開示請求をしているのに非開示とされた事例があれば、当該病院にカルテを開示するよう指導して下さい。また、それぞれの大学附属病院のカルテ開示請求の手数料やコピー代の価格を調査し、他の病院よりも高額な価格を設定している病院があれば、カルテ等の医療情報ができる限り料金をとらずに患者と共有されていくよう、強く改善指導をして下さい。また、電子カルテへの患者本人や家族の閲覧や、遺族からのカルテ開示請求ついてどのように対応しているか、開示件数と非開示件数も含めて教えて下さい。さらに、薬害ヤコブなどの被害を受け、厚生労働省は特定生物由来製品の記録の20年間以上の保存を2003年より義務付けているように、現行のカルテ等の5年間の保存義務では患者や国民の安全を守ることができません。日本医師会もカルテの永久保存を推奨している現在において、薬害防止のためにも、日本の医療の見本となるべき大学付属病院のカルテの保存期間を調査して下さい。また、国公立大学附属病院の電子カルテについては永久保存とするよう定め、通知して下さい。
<Ⅵ>HPVワクチンに関して
【1】2022年4月にHPVワクチンの積極的勧奨が再開された後、2024年12月までの間に、HPVワクチン接種後症状の受け皿として指定された協力医療機関をあらたに受診する患者が少なくとも545名にのぼることが報告されており、とりわけ2024年9月から11月には合計149名の新規受診者が出現したため、厚?労働省の副反応検討部会においても「この夏を過ぎて一気に増えてきた」と報告されていますが、個別の患者の病態を国は把握していません。 健康だからこそワクチンを接種したにもかかわらず、協力医療機関を紹介受診する患者が1ヶ月で50名以上も出現しているのに、個別の患者の病状が把握されないまま放置されているという事実が、教育現場に対しては全く周知されないまま、各地の大学では学内での集団接種が進められています。そこで文部科学省は、2022年4月以降、現在までの間に、学内でHPVワクチンの集団接種を実施した大学を把握し、集団接種呼びかけにあたって、上記のような協力医療機関新規受診者数に関する情報が接種希望者に提供されているかどうかを確認すると共に、この情報を提供せずに集団接種を進めている大学には、このような副反応に関する情報を提供することと、接種は任意であることを周知するよう指導して下さい。
【2】令和6年度に厚生労働省が国内7大学(千葉大学、東海大学、静岡社会健康医学大学院大学、静岡理工科大学、近畿大学、奈良女子大学及び山口県立大学)の協力の下で「キャッチアップ接種」周知キャンペーン(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41203.html)を実施した際、厚生労働省から文部科学省に対していかなる協力要請がなされ、これに対して文部科学省からキャッチアップ接種対象者の安全確保やリスク情報に関する事前説明についてのいかなる要望を行ったのかをご説明下さい。
【3】500名を超すHPVワクチン協力医療機関への新規受診者は、中高生から大学生の年代の女性が中心であると考えられるため、症状の改善がないまま、通学・進級・受験等に支障を来す患者が再び増加していることが懸念されます。文部科学省は、HPVワクチン接種後の症状でこれらの支障を来している患者から、通学・進級・受験等に関する個別相談窓口を設置し、各患者が適切な通学支援や単位取得支援(レポート提出等)、別室受験等の個別の配慮を適切に受けることができるよう、積極的かつ具体的な支援策を実施して下さい。また、HPVワクチン接種後の副反応患者についても「高等学校入学者選抜における受検上の配慮」及び「大学入試における合理的配慮」の対象となりうることを広く周知して下さい。
以 上
<別紙>
2025年8月26日
文部科学大臣 あべ 俊子 様
全国薬害被害者団体連絡協議会
世話人代表 花井十伍
『薬害根絶デー』への文部科学大臣の出席のお願い(要請書)
大臣におかれましては、日々の文部科学行政へのご尽力に対し、敬意を表します。
私達は、厚生労働省の敷地に「薬害根絶誓いの碑」が建立された8月24日前後を毎年「薬害根絶デー」と定め、多発している薬害の根絶を目指して被害者が一堂に会して行政との話し合いをすすめています。
今年も下記の要項で第26回目の「薬害根絶デー」の取り組みを致します。ご多忙とは存じますが、ご出席いただければ幸いです。特に、午前中に予定されている「文部科学省交渉」は、全国薬害被害者団体連絡協議会が結成された日である1999年10月22日に第1回が行われ、翌年からは8月24日を基本とする薬害根絶デーの日に毎年実施され、今年で27回目となります。
その1回目では、担当官僚が「薬害」と「薬物乱用」を混同した回答に終始したことを受け、翌年の2回目の交渉では、薬害に対する理解と認識不足について官僚らが謝罪をするという状況でした。
3回目の交渉の後の2002年3月25日に、ヒト乾燥硬膜ライオデュラの移植によりクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者本人・家族・遺族らと厚生労働大臣・被告企業らとの間で和解が成立し、その確認書の中で「我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学部等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする」と約束されました。しかし、同年8月の4回目の交渉で、その和解確認書の内容自体を文部科学省が把握していなかったことが明らかになり、翌年の5回目からようやくこの和解確認書に沿った取り組みが少しずつ進められてきた状況です。
そして、2006年8月24日の文部科学交渉では、当時の文部科学大臣にご出席いただき、私たち薬害被害者と直接の面談をしていただきました。またその場で大臣は、今後も大臣が誰に替わろうとも、毎年、大臣が参加し続けるよう申し送る旨の発言をされました。その翌年も文部科学大臣に直接ご出席いただき、「我々の立場としては薬害の恐ろしさ、薬害が出てくる背景を小さいときからしっかり子どもたちに身につけさせていくことが大切。」などの発言をいただくなどし、現在に至っています。
繰り返されている薬害被害の根絶には、適切かつ的確な文部科学行政が必要であることをご理解頂きたく、ぜひ、「薬害根絶デー」および「文部科学省交渉」の場にご参加頂きますようお願い申し上げます。
記
日 程 2025年8月26日(火)
時 程 文部科学省交渉(文部科学省内) 10:00~11:30
碑の前行動(厚生労働省前庭碑の前) 13:00~13:15
厚生労働省交渉(厚生労働省内) 13:30~15:30
全国薬害被害者団体連絡協議会
イレッサ薬害被害者の会
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
MMR(新3種混合ワクチン)被害児を救援する会
大阪HIV薬害訴訟原告団
公益財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)
NPO法人京都スモンの会
陣痛促進剤による被害を考える会
スモンの会全国連絡協議会
東京HIV訴訟原告団
薬害肝炎全国原告団
薬害筋短縮症の会
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議
第26回薬害根絶デー
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