東京都中野区で新型コロナウイルス（COVID-19; coronavirus disease 2019）の感染が拡大している。中野区関連では立正佼成会附属佼成病院（杉並区和田）、サミットストア東中野店（中野区東中野）、中野セントラルパークサウス（中野区中野）で感染者が出た。地域的なクラスターが懸念される。報道は単発的であるが、点をつなげて面的に分析すると大変なことになりそうである。メディアが大きく取り上げないことが不審である。
立正佼成会附属佼成病院（杏林学園教育関連施設）は4人の感染者を出した。感染者5人でクラスターのため、クラスター一歩手前である。佼成病院は杉並区和田にあるが、中野区寄りであり、中野区民の利用者も多い。中野区民が救急車で運ばれることもある。佼成病院の最初の新型コロナウイルス感染者の情報は明らかにされていないが、Twitter上では中野区民との指摘がある。
続いてサミットストア東中野店の従業員の新型コロナウイルス感染が2020年3月8日に判明した。報道された3月9日は奇しくも新型コロナウイルス感染判明で休診していた佼成病院の診療再開日であった。再開初日に中野区の新たなコロナウイルス感染が報道されたことになる。
従業員は2月26日から1泊2日の日程で札幌市を訪れていたという（「埼玉で40代男性の感染確認 東京・中野区のスーパーに勤務」NHK 2020年3月9日）。感染ルートは先ず北海道の線になるだろうが、先入観を持たずに調査する必要がある。佼成病院で最初にコロナウイルス感染が判明した入院患者の感染ルートは明らかにされていない。
さらに中野セントラルパークサウスのコールセンターでクラスターが発生した。コールセンターのスタッフは2月28日に発熱で欠勤、一旦熱が下がったため翌29日は出勤したものの、再び発熱したことから3月1日以降は休み、3月11日夜に新型コロナウイルス感染症の検査で陽性反応が出た（「ドコモのコールセンター1カ所が運営停止、スタッフの新型コロナウイルス陽性反応で」Impress Watch 2020年3月12日）。一度熱が出て下がり、出勤したが再度発熱した経緯は埼玉県警武南警察署の男性警察官の新型コロナウイルス感染と重なる。
その後、新たな新型コロナウイルス感染者が3月14日に4名、15日に1名、18日に2名判明した。感染者は合計8名になる（株式会社ベルシステム24ホールディングス「＜3 月 18 日追記＞当社拠点における新型コロナウイルス感染者の発生について」2020年3月18日）。
最初の感染者が3月1日から休んでいるのに、検査結果判明が11日と遅い点がクラスター化の原因である。埼玉県発表の県内31例目・32例目の感染者は状況的に14日判明の4名のうちの2名と考えられる。どちらも都内勤務の会社員で「勤務先社員に新型コロナウイルスの感染あり」となっている（埼玉県「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について（県内31例目・32例目、県発表19例目・20例目）」2020年3月14日）。
32例目の女性は3月4日から発熱、下痢、悪寒があったが、熱が下がった8日に出勤している。9日は37.5度で出勤して、早退している。最初の感染者が早期検査を受けられていたら、彼女も早期に対応できただろう。
コールセンターでは9人目の新型コロナウイルス感染者が出たと3月19日に東京都から発表された。毎日新聞の英字紙は9人目の感染者が出たと明記している。「A woman in her 20s at NTT Docomo Inc.'s call center in the Japanese capital is the ninth worker there to be confirmed infected with the novel coronavirus, the Tokyo Metropolitan Government said on March 19.」（Mobile giant NTT Docomo's Tokyo call center hit by possible coronavirus cluster, Mainichi Japan, March 20, 2020）
ところが、その記事の日本語版は、その部分がごっそり削除されている。その記事でも以下を良く読めば9人目の感染者が出たことは分かるが、分かりにくくなっている。日本語読者には真実を伝えたくないのだろうか。
「20代の女性会社員は、都内のNTTドコモのコールセンターで勤務していた。NTTドコモによると、このコールセンターでは18日までに8人の感染が確認されており、都は、感染者集団「クラスター」が発生している可能性があるとみて調査している」（内田幸一「東京で新たに7人感染 クラスター疑いのドコモコールセンターで1人 新型コロナ」毎日新聞2020年3月19日）
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