top of page
  • 執筆者の写真林田医療裁判

緊急事態宣言の早期解除で感染再拡大の懸念

更新日:2021年2月24日

新型コロナウイルスの感染拡大は僅かの期間に人々の生活を大きく変えた。緊急事態宣言の解除前倒しは感染再拡大の懸念がある。入院したくても入院できない入院待ちが存在する限り、医療崩壊が起きており、文字通りの緊急事態である。緊急事態宣言が解除されてもコロナ根絶を意味するものではなく、ニューノーマルの生活スタイルに適応していかなければならない。


新型コロナウイルス感染症の二度目の緊急事態宣言が1月8日には埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、1月14日に栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県に発出された。2月上旬には栃木県を除く都府県で緊急事態宣言が延長された。


東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の各知事は2021年2月23日、テレビ会議を開催し、緊急事態宣言解除の前倒しを要請しない方向で一致した。首都圏では新規感染者の減少ペースが鈍化しており、3月7日まで新規感染者を可能な限り抑えて再拡大を警戒していくとの認識を確認した(「首都圏、宣言解除前倒し要請せず 1都3県知事一致、再拡大を警戒」共同通信2021年2月23日)。


4知事は関西や愛知県などでの解除前倒しの動きに伴って首都圏の対策に緩みが出ることへの懸念も共有した。実際、大阪府の2021年2月23日の新型コロナウイルス新規感染者は100人。1日当たりの新規感染者が100人以上となるのは6日ぶり(「大阪で100人が新たに感染 6日ぶり100人以上新型コロナ」毎日新聞2021年2月23日)。緩めようとすると感染者は増える。


テレビ会議に先行して東京都は早期解除を国に要請しない方向で検討と報道された(「東京都、早期解除要請せず 緊急宣言中に感染抑え込む―新型コロナ」時事通信2021年2月23日)。そこでは宣言期間中にできるだけ減少させ、今後の急速な感染再拡大を防ぎたい意向とされており、意向通りのテレビ会議になった形である。


緊急事態宣言の早期解除は元々、消極意見が出ていた(「経済学者「3度目の宣言に至れば致命的」 緊急事態、早期解除に急ブレーキ」西日本新聞2021年2月20日)。岐阜県の古田肇知事も「県内のクラスター(感染者集団)が収束していない」と早期解除に慎重な姿勢を示している(「愛知県、緊急事態宣言解除要請 岐阜知事「考えていない」」毎日新聞2021年2月22日)。


新型コロナウイルスの新規感染者数は一時期より減少したものの、減少スピードは鈍化している。東京都の一日の感染者数が数百人は十分多い数字である。東京都の2020年7月10日の感染者数は243人で、この時点での過去最多である(「東京都で新たに243人の感染確認過去最多を更新」ABEMA TIMES 2020年7月10日)。500人を下回っていることを安心材料とすることは感覚が麻痺している。しかも感染者数減少には積極的疫学調査縮小の影響もあり、実際の感染者減少とは限らない。


世界では新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、日本でも開始される見込みである。しかし、保管条件や複数回の接種が必要になること、当初は供給が限定的であることなど条件は複雑で、給付金の混乱の二の舞が懸念される。



閲覧数:88回0件のコメント

最新記事

すべて表示

訪問看護からみた命の選別~コロナを乗り越えたその先へ~

障害者福祉を考える杉並フォーラム 主催 第2回“命の選別”シンポジウム 訪問看護からみた命の選別~コロナを乗り越えたその先へ~ 講師 龍田章一さん 【プロフィール】 株式会社シャーンティ 代表取締役 おうちに看護師さん 訪問看護ステーション秋桜一般社団法人日本訪問診療・看護協会 代表理事 龍田モデル(日本で初めてコロナ禍の在宅療養において、医師とチーム形成を行い、診断から治療・生活までの役割を

まん延防止等重点措置解除のリバウンドに警戒

まん延防止等重点措置が解除されると新型コロナウイルス感染者が増加するリバウンドを繰り返してきた。日本型組織の年度末と年度初めの歓送迎会で感染拡大の増加が懸念される。入院待ち、検査待ちがいる時点で医療崩壊の緊急事態である。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年末に中国湖北省で初めて検出されたコロナウイルスSARS-CoV-2に関連する呼吸器症候群である。2020年初頭には、南極

bottom of page