立正佼成会附属佼成病院(東京都杉並区和田、杏林学園教育関連施設)は2020年2月29日、女性看護師が新たに新型コロナウイルス(COVID-19; coronavirus disease 2019)に感染したと発表した(佼成病院 院長 甲能直幸「新型コロナウイルス感染症に関するご報告」2020年2月29日)。
佼成病院では入院中の80歳代男性と70歳代女性の陽性反応が判明した。看護師は上記患者の接触者で、24日夜から発熱があり、新型コロナウイルス感染症の検査をしたところ、29日に陽性反応が確認された。
また、80歳代男性と70歳代女性と同じ病室に入院していた男性患者も退院後に新型コロナウイルス感染症と疑われる症状が現れ、検査中とする。杉並区も佼成病院の発表とほぼ同内容で発表している(杉並区「区内医療機関である佼成病院で新たに新型コロナウイルス感染症の患者が発生しました」2020年2月29日)。
佼成病院の新型コロナウイルス感染については具体的な情報が出ず、報道の扱いが小さいことが不審であった。感染経路も明らかにされていない。Twitterなどでは患者がどこの区の住民であるなどの指摘がされている。深刻な事態と分かっていたから情報が出ないのではないか。3月に再開予定としていたが、希望的観測ではないか。
病院名は伏せられているが、佼成病院看護師と状況が一致する女性看護師の新型コロナウイルス感染が東京都から2020年2月29日に発表された。都内在住の20代の看護師女性で、26日に亡くなった80代男性が入院していた病院で働いていた。都は院内感染の可能性があるとみている。看護師は看護業務で、13日に亡くなった男性の妻で入院して感染が確認された70代女性に接触。14、15日には男性に接触していた(「院内感染? 20代の女性看護師が新型コロナ 東京」朝日新聞2020年2月29日)。
「女性が勤務する病院では新型コロナウイルスに感染し、その後に死亡した80代の男性が13日から18日まで入院していて」とある(「都内で20代看護師が感染 死亡した患者の濃厚接触者」テレ朝News 2020年2月29日)。入院に加えて、転院のタイミングも佼成病院と一致する。
看護師が勤務する病院を杉並区とする報道がある(「東京と名古屋で新たに感染確認」日テレNEWS24 2020年3月1日)。佼成病院であることが濃厚になる。
看護師が濃厚接触した80代男性は26日に亡くなったとする。佼成病院入院患者の80代男性と同じ特徴の新型コロナウイルス感染者の死亡が厚生労働省から発表されたが、佼成病院入院者であるかは明らかにされていない。看護師が佼成病院勤務とすると更に状況が一致する。
報道では看護師は発熱やせきの症状が出た24日以降に出勤を止めたとする。「女性は都内の病院に勤めていて、2月24日に発熱やせきの症状が出たため、その後は出勤せず自宅で過ごしていました」(「新型ウイルス 都内の看護師1人感染 死亡した患者の看護担当」NHK 2020年2月29日)。
「女性看護師は、症状が確認された以降は勤務しておらず、誰とも会っていない」(「東京都で新たに女性看護師の感染確認」TBS 2020年2月29日)
佼成病院であるとすると18日に入院患者の感染が判明している。佼成病院は19日から診療を休診し、検診や手術、新規入院の受け入れを中止した。入院患者はいるため、看護師が出勤する必要はあるが、濃厚接触者であるのに24日まで出勤していたのだろうか。
二階堂ドットコムは「佼成病院だろ」と指摘する。「マスコミも病院名言わない。隠蔽。書くと騒ぎになるってんなら、そもそも一行も報じるなよ」(「佼成病院だろこれ」二階堂ドットコム2020年2月29日)
病院であることを隠す必要があるのか理解できない。信頼を損ねる行為である。ここまで状況が一致していて病院名を出さないならば逆にデマを広げかねない。報道も役所の発表に追従するのではなく、独自に集めた情報で補強することをしないのだろうか。
一方で東京都発表は院内感染の可能性を指摘する。佼成病院発表や杉並区発表には院内感染という言葉はない。院内感染を隠す意図があるというよりも、院内感染であることは当たり前すぎて書いていないと思われるが、院内感染という言葉には重みがある。正しく事態を把握する上で用語の選択は大切である。
感染した看護師は「当時、マスクをつけていた」という(「国内で新たに8人感染 東京で看護師院内感染か」日本経済新聞2020年2月29日)。マスク至上主義的な発想は改める必要がある。
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