中野江古田病院(東京都中野区江古田)は2020年4月12日までに90人以上の新型コロナウイルス感染者を出した。メガクラスターと言える。中野江古田病院は職員数約200人、病床数173床であり、感染率は非常に高いものになる。
中野江古田病院は情報公開の消極性と対応の鈍さが問題である。中野江古田病院では看護師が3月26日に発熱し、4月1日に陽性と判明した。病院は1日、中野保健所に「原因不明の発熱をした入院患者が4人いる」と連絡した。
保健所は3日に中野江古田病院に外来の診療や入退院などの停止を指示したが、病院は4日も外来診療を続けた(「中野江古田病院“外来停止指示”翌日も診療」日テレ2020年4月13日)。「感染の拡大につながった可能性がある」(「<新型コロナ>92人感染 中野江古田病院 停止指示後も外来継続」東京新聞2020年4月14日)。
この4日に入院患者5人の陽性が判明した(「東京・中野の病院で87人感染確認 院内の感染計92人」朝日新聞2020年4月12日)。病院は5日に外来診療と入院の受け入れを中止した。
中野江古田病院は何故か1日空けた7日にWebサイトで新型コロナウイルス感染者発生を発表した(社会福祉法人浄風園 中野江古田病院「新型コロナウイルス感染症発症に伴う休診について」)。タイムラグがある上に感染者数などの詳細情報はない。8日に医師1名、9日に職員1名の感染が判明したが、経過報告はなされなかった。
東京都は4月12日、新たに確認した感染者が166人と発表し、そのうちの87人が中野江古田病院から発生したとした。中野江古田病院では既に複数人の感染が確認されているため、中野江古田病院の感染者総数は90人以上になる。
東京都の感染者数は9日178人、10日189人、11日197人と推移し、これらに比べると12日の166人は減少している。中野江古田病院関係を除けば79人になり、激減している。これは中野江古田病院関係の検査を優先させたためである。むしろ、減少した分は検査待ちの人が出ていると考える必要がある。根本的な問題は検査のキャパシティーが需要に追い付いていないことである。感染判明数は実際の感染者数以前に検査能力の限界がある(林田力「新型コロナウイルス発生事業所の検査数」ALIS 2020年4月5日)。
中野江古田病院は14日に詳細情報を発表した(社会福祉法人浄風園 中野江古田病院「新型コロナウイルス感染症発症の経過について」2020年4月14日)。そこでは12日判明の感染者を「入院患者様64名、職員22名」の計86名としており、東京都発表よりも一人少ない。「発生状況の報告が遅くなり、大変申し訳ありませんでした」とお詫びした。
15日にも職員1名の感染が判明した(社会福祉法人浄風園 中野江古田病院「4/15 新型コロナウイルス感染症発症の経過について」2020年4月15日)。
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